2020年09月26日

リコリスの季節

リコリスの季節
彼岸花の咲く頃には涼しくなっているのか、涼しくなったから彼岸花が咲くのか。昨年クリニック中庭の黄色いリコリス(ショウキラン)を写真に収めた日付と今年の日付が1週間程度しか違わないことから、例年彼岸前後で気温や日照時間など気候が変化しリコリスの球根の中で細胞増殖のスイッチが入るのではと考察しています。


リコリスの季節
生物学的には涼しくなったから彼岸花が咲くのであり、彼岸の頃にその気候変化が起こりやすいということで、どちらも正しいと言うのが結論です。





リコリスの季節
(東洋経済オンラインより)
人の移動を伴う社会活動が徐々に規制緩和されてきましたが、全国の新型コロナ感染者数は8月初旬をピークに緩やかに減少傾向を示しています。




リコリスの季節
(東洋経済オンラインより)
実行再生産数も1を下回っており感染拡大に転ずる要素が少なければ収束に向かう事になります。前回春先の流行と比べ一部を除き集中治療室が逼迫することも無く、経験の蓄積から医療側の対応もレベルアップした印象を持ちます。一方でウイルスが弱毒化したエビデンスは確立されておらず感染後抗体価が速やかに低下する傾向や再感染の報告もあり、再度感染増が起こるリスクは相応に高いと思われます。
 特に従来コロナウイルスは冬期に流行しやすいこと、Gotoトラベルの対象拡大で感染率の高い都市部と地方との往来が増えること、渡航制限の緩和により海外からの持ち込みリスクが増えること、更に先になると年末年始の人の移動なども感染増のリスク要因になり得ます。一方で経済を動かすには人の移動や渡航緩和は避けて通れないため感染を制御しながら制限を段階的に緩める必要もあります。感染制御は各段階でのリスクマネージメントが重要となり、空港検疫から個人レベルの感染予防まで出来る事をなるべく丁寧に行う事が地味ではありますが最適解になると考えます。



リコリスの季節
(日本医師会HPより)
私たちが日常生活の中で出来る予防策は感染経路を絶つことです。主要な感染経路は飛沫感染とされるため飛沫が濃密になる環境を避ける事が大切であり、わが国で早くから指摘されていた三密(密閉、密集、密接)の回避がその具体策です。更に石けんで手洗いを徹底することは接触感染に対する有効策です。空気感染は主要な感染経路ではない可能性がありますが換気の徹底でリスク低減が可能です。

過日、一定期間閉店していた飲食店の再開に伴い商店街が一丸となって店内外を消毒するニュースが流れました。営業をしていなかった期間は当然客の出入りは無く接触感染のリスクはほぼゼロのため、消毒は感染予防に何ら寄与しません。安心のため「何かやっている感」を得るまたはアピールするために不必要な予防策を行うことは意味がありません。どんなに消毒しても密閉した空間でマスク無しにカラオケをすれば飛沫感染のリスクは高まります。栃木県ではホームパーティーでマスクをせずにカラオケを行い関係者44人が感染した事例もありました。



リコリスの季節
(日本透析医会発表の資料より作成)
全国の透析患者における新型コロナウイルス累積感染者数と死亡者数です。8月上旬9月初旬にかけて感染者数が増加しました。9月下旬で累積数の増加はやや減少傾向にありますが全体的には漸増傾向です。死亡率も単純計算で14%と一般の感染例よりも高値であり、年齢別の統計でも透析をしていない群の数倍高い結果です。

どこまで感染に気を配るかは個人個人で異なりますが、65歳以上の高齢者や糖尿病、腎臓病など持病を持っている方は重症化率や死亡率が高くなるため最大限の予防策を講ずることが大事です。我々医療者も同様に今しばらく人混みが出来る観光地やショッピングモールへ出掛けることや流行地からの帰省者と濃厚接触を避ける事、やむを得ない場合は事前に周囲と相談して対応策をとることが求められます。



リコリスの季節


リコリスの季節
今月の治療指標の達成度です。
透析医会の指標は今月も貧血の指標ヘモグロビン(Hb)および血清リン(P)も90%以上を維持しています。iPTHについては今までの平均の半分程度に低下しており、個別解析中から違和感を感じていました。検査会社とも連携し新検体による再検査を施行し原因の究明にあたっています。独自指標では栄養関係の数値が漸減傾向にありますが、例年9月が底値となり回復に転じているため気候も涼しくなった来月の動向を見守りたいと思います。

《iPTHの再検値:114.3±88.4(定期検査時:75.4±59.3)》
iPTHの再検結果が出ました。定期検査時よりも高めですがここ何ヶ月かの平均値に比べまだ低めの数値です。現在外注会社では全血(血清)で測定をしており測定までの保存日数が長いと測定対象が分解され低値になる可能性があります。7月の前回と今回で採血〜保存〜測定までのプロセスは大きく変わっていませんが採血管だけメーカーが変更となりました。採血管の変更により検体中のiPTHの失活速度が高まり低めの数値が出た可能性はあります。EDTA血漿で測定した場合比較的安定するため、次回以降採血管の変更も検討されます。

リコリスの季節
(CRC HPより)


リコリスの季節
季節の変わり目をよく現すコムラサキのグラデーション。




リコリスの季節

黄色のリコリスが真っ先に開き、赤、白と続きます。
ショウキランは一等先に現れる秋の目印です。



須坂 腎・透析クリニック


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Posted by Kidney at 16:08│Comments(0)ひとりごと
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