2014年の師走

Kidney

2014年12月26日 20:48



クリスマスも終わり2014年も残り僅かとなりました。
余談ですが毎年楽しみにしている某局の「クリスマスの約束」・・・今年のオンエアーはガッカリでした。




今年は早い時期から結構な量の積雪、既に駐車場の除雪に業者さんが入りました。2月のような大雪が降らないことを祈るばかりです。




12月初旬の土曜日

今年も患者さんと一緒にクリスマスディスプレイの準備。






受付にも定番のポインセチアを置きました♪






クリスマスリースは当クリニックの美術監督にしてフラワーアートの大家であるK女史による材料提供とご指導で作成しました。飾り付けには作る人の個性が出るもので、一つ一つ感心しながら?見ていました。写真は事務のKさんの作品、実にガーリーな仕上がりです♪






クリニック透析部門では昨年に引き続き「シャント管理」を綿密に行うとともに、「フットケア」および「透析時の運動と栄養管理」の2点を加え重点項目とて取り組みました。

高血流による高透析効率の維持にはシャント管理が必要不可欠です。機能不全のあるシャントでは毎分350〜400mを確保することは困難であり、逆に高血流としているためにわずかな脱血量の減少からシャント血管の再狭窄を早期に捉えることが可能であった症例も見受けられました。また人工血管の完全狭窄に対する緊急インターベンション(経皮的血栓除去術+血管形成術)も5例あり4例で現在も使用可能です。易狭窄例でのエコーによる経過観察に加えて、スタッフ一人一人のシャント管理に対する意識の向上が疑義病変の早期検出と対応に繋がりました。

フットケアは白澤看護師長が3日間の講習を受講し、秋から本格的なフットケア回診を始めました。その結果、足趾の血行不良、爪白癬、ケア不足による角質の浸軟など、今まで見過ごされていた病変や高リスク状態を複数例拾い上げることが出来ました。壊疽を伴う足趾病変は長野市民病院形成外科と連携して治療を開始、劇的な改善をみせており切断の危険性を回避出来ました。爪白癬は比較的長期の治療が必要であり、内服・外用併用で治療を開始しています。またケア不足による高リスク例においては定期的な観察に加えて透析時の定期的な足浴を始めました。局所の清潔管理、血行促進、感染や虚血による新規病変の予防に効果が期待されます。

当クリニックではただ透析医療を行うだけではなく、フットケアをはじめ患者さんの全身管理にも力を入れています。ほぼ全員の方が年一回上部消化管内視鏡を受けているほか、大腸カメラ未施行の方には便潜血検査(大腸癌検診と同じ検査)を行っています。本年は新たに便潜血陽性が認められて大腸カメラを行ったところ早期の大腸癌が発見され、無事内視鏡的切除術が施行出来たケースが複数例ありました。大腸カメラによりポリープ等の経過観察中の方も含めて診療データは一括管理され、適切な時期に検査が行えるように関連期間と連携しています。また誕生月にはクリニックの負担で腫瘍マーカー(CEA, CA19-9, 男性は前立腺癌マーカーPSAも)を測定し、必要に応じて精査の相談も行っています。

透析時の運動では「エスカルゴ」を用いて多くの患者さんに透析時の運動を継続していただいています。その関わりについてまとめた内容を長野県透析研究会で発表しました。栄養面では昨年より進めた高効率な透析により老廃物を十分に除去することで、食事制限の緩和、特に蛋白制限の大幅な緩和が可能となりました。加えて管理栄養士による栄養指導を積極的に行い栄養状態の改善を目指しました。当初これら運動と栄養を定量化して評価すべく生体組成分析装置の導入も検討しましたが、機器により一長一短あり実現には至っていません。当面は定期検査の結果により経時的な栄養状態の評価と食生活へのフィードバック、日常的な運動の勧めや在宅リハビリなど多方面からアプローチを続けたいと考えています。


十分な透析により食事制限が緩和され、十分なカロリーとタンパク質の摂取により栄養状態が改善され、可能な範囲で体を動かし、充実した日常生活と元気に通える透析を目標に、来年もこの三つの重点項目への取り組みを継続します。




本年は日本透析医会の呼びかけに応じて透析医療の自主機能評価指標を公開しました。特に変動がある治療指標については、5月以降毎月の結果をこのブログで公開してきました。それらの一年間の総括をグラフにしてまとめました。

血流量、透析時間、透析効率の年間の推移です。

血流は平均で300〜330ml/min、日本透析医学会「2013年度わが国の慢性透析医療の現状」より前希釈on-line HDF群(当院で採用している方式)の平均血流量が230.9±42.9であることから、全国平均よりも約100ml/min多いことになります。その結果平均Kt/Vは年間を通じて2.0以上を維持しています。高血流で透析を行っても血圧が下がりにくい理由として、水の清浄化とon-line HDFの両者が関与していると考えられます。on-line HDFを開始する前の段階で既に血圧降下の頻度が減っていたことから、水の清浄化単独でも一定の効果はあると思われます。また7時間かけてやや多めの除水を行った場合、6時間HDF+ECUMよりも7時間HDFの方が血圧が維持されたことから、水の清浄化とは独立してon-line HDFの効果も存在すると考えています。平均透析時間は4時間ですが、除水量に応じて5〜7時間に延長する調節も随時行っています。




透析前のヘモグロビン値とエリスロポイエチン製剤(ESA)の週間使用量です。

日本人の平均値をまとめたDOPPS IIIの結果と比較するとより少ないESAでより高いHb値が維持されています。




血清アルブミン値と蛋白異化率です。

夏場の暑い時期に蛋白摂取量、アルブミン値共に若干減少しましたが、アルブミン値は年間を通して日本の平均的な数値を越えていました。血液濾過透析(HDF)は一般的な透析(HD)に比べてアルブミンの漏出量が多く、高血流で行うとその傾向が強くなるため常に留意して透析条件に反映させています。




治療指標の達成度の年間推移

新規導入で4時間未満の患者さんが増えたため、後半4時間以上の達成率が低下しました。これらは今後尿量の減少や食事摂取量のアップに従って4時間に移行してゆくため、自然に達成率も増加すると思われます。透析効率Kt/V>1.2は常に95%以上でした。貧血管理も概ね90%前後で推移しました。11月に若干低下しましたが、先に示したHbの平均値に減少はなくESA製剤の増量により今月には速やかに回復しています。リン(P)も95%前後の達成率を維持しており、患者さんには安心してタンパク質を摂取するように説明しています。




今月の治療指標

10月に副甲状腺ホルモン(PTH)が低下した症例が多く、ビタミンD製剤を減量したところ11月のP

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