里の木々も色づく暮れの神無月

Kidney

2022年10月31日 15:30


神無月も暮れに近付き、朝晩の気温が随分低くなり木々の色づきも始まりました。



1枚目のシャラの木ように赤くなる葉、シラカバのように黄色くなる葉、クリニック玄関のジューンベリーは少し複雑な模様です。


季節の変わり目で寒暖差が大きくなると心身の不調が現れやすくなると言われます。実際にめまい、不整脈、血圧変動、さらに不眠や不安、気分の落ち込み等の相談が多くなります。

寒暖差疲労とも言われ寒暖差による自律神経の失調が原因の一つと考えられています。寒暖差が7℃以上になると自律神経の働きに影響するとの報告があり、10月後半にあった最低気温5℃〜最高気温25℃のような極めて大きな気温の変動は体にとってかなりのストレスであったと考えられます。季節が進み寒暖差が小さくなり体が寒さに慣れてくれば自然に軽快する症状がほとんどです。それまで自身で出来る対策として保温、規則正しい生活習慣、適度な運動が推奨されます。

涼しくなると呼吸器系ウイルス感染症の頻度が高くなります。

季節が真逆の南半球では2022年のインフルエンザ感染者が例年よりも増えて、流行のピークも早まりました。昨年わが国では新型コロナとインフルエンザの同時流行(ツインデミック)の可能性が唱えられましたがインフルエンザの罹患者は一昨年同様少なめでした。今季がどのようなパターンとなるか予測は困難ですが、
1. 新型コロナ感染症に対するガードが低下している
2. 旅行、飲食支援策が本格的に始まる
3. 海外からの渡航制限が緩和された
4. すでに新型コロナ感染患者が微増傾向にある
5. 海外ではB.Q.1.1, XBBなど免疫回避性の高い変異株が流行しつつある

ことから呼吸器系のウイルス感染がかなり増加する可能性も排除出来ません。上記の中で私たちが対応可能な項目は1.のみです。新型コロナ感染症は武漢株〜δ株の頃に比較して軽症例が圧倒的に増えました。一方で高齢者や持病持ちの方、ワクチン未接種例では未だインフルエンザの数倍から数十倍高い死亡率であり、若年者の後遺症発症率の高さや小児の重症例(小児多系統炎症性症候群)も散見されており、インフルエンザ並みの扱いとするには時期尚早で多大な犠牲を伴いかねません。

「手洗い、うがい、人混みでのマスク」
これは新型コロナウイルスがパンデミックを起こす前から「普通に」行われてきた感染予防策です。さらに空気感染(エアロゾル感染)に有効な「換気」も以前から感染対策の手段の一つでした。新型コロナワクチンが接種可能となる前まで、私たちにはこれら感染予防策を徹底することしか出来ませんでした。ところがその結果2020〜2021年のインフルエンザの流行はほとんど見られず、基本的な感染対策の効果と重要性が証明された事になります。

加えて新型コロナワクチンの有用性は科学的に証明されており正しく接種することで、重症化の回避、短期的には罹患回避そして後遺症のリスク低減が期待出来ます。禁忌にあたらない人はなるべく接種していただき、罹患に依らない集団免疫の形成に寄与することは社会的にも意味のあることと考えます。


今月の治療指標の達成度です。



過ごしやすい季節、食欲の秋のお陰か今月は血清アルブミンやGNRIといった栄養指標が上昇しました。高齢者が多く筋肉量の指標である%CGRや蛋白質摂取の指標nPCRは低めですが「自分の足で歩ける生活」を維持するためになるべく制限の無い食事が摂れるように、十分な透析を心掛けたいものです。



ハナミズキの実とドウタンツツジの紅葉



コムラサキの実



今年は鉢植えの南天がたわわに実りました。

クリニックでは今週透析患者のインフルエンザワクチン接種を終えて、新型コロナワクチンの5回目接種の準備を進めています。前回の4回目接種が7月であり4ヶ月間隔を空けての施行で、第8波ピーク前に抗体価を上げるための実施です。現行mRNAワクチンの3回目接種以降の重症化予防効果(抗体価)は半年以上維持されるため、4回目以降の追加接種は一般的には5ヶ月かそれ以上の間隔で良いとされます。一方で高齢者や持病持ちでワクチンの効果が十分に維持されないリスクがある場合、または2回までしか接種を終えていない方は3ヶ月間隔での追加接種が望ましいとされます。今後は感染予防効果が期待出来る粘膜表面のIgA抗体を誘導する粘膜ワクチンの開発に期待したいと思います。

十分な感染予防とワクチン接種で社会活動を行いつつも「感染しない、感染させない」配慮を最大限継続したいと思います。

須坂・腎透析クリニック

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