2015年01月28日

2015年スタート




2015年が始まり早いもので1ヶ月が経過しようとしています。院長室のMacが5K iMac(4GHz, memory 32G)になり画像処理もサクサクとスピーディーになりました。




元日の玄関前

「おんべ」を付けた松飾りを今年も用意しました。






幸い大雪もなく経過していますが、駐車場の端の雪置き場は順調に壁が成長しています。昨年の大雪は2月、まだまだ油断が出来ません。





雪が溶けた中庭。






雪を割るグランドカバープランツ。





凍った積雪の端が陽光で溶け始めていました。





昨年の始めに「血流・シャント管理」「運動と栄養」「フットケア」の3チームを軸に診療を行うと表明しました。血流に関しては穿刺針の口径と実血流との関係を研究し成果を日本透析医学会で発表しました。その血流を担保するシャント管理においては、シャント音の聴取を徹底した上で、脱血量や返血圧の変動にも気を配り、積極的に血管エコーも施行し早期に狭窄病変を把握および経過観察し、最終的には血管造影による最終診断と、必要に応じて血管内治療(インターベンション)による狭窄解除に繋げました。その結果、開業以来自己血管吻合によるシャント(AVF)閉塞による新規シャント作成は0件です。人工血管(AVG)では短期間に繰り返す閉塞に対し新規AVGの作成が必要であった症例が2件ありました。今年も視診・触診・聴診・エコーなど多面的なアプローチでシャント管理を行い、適切なタイミングで治療介入を行えるように、きめ細かな診療をスタッフ全員で行います。また患者さんにもシャント管理に関心を持って頂けるように、適宜情報発信と情報共有を行いたいと思います。

運動ではベッド上でのペダル運動の継続的な取り組み方について長野県透析研究会で発表を行いました。発表段階で運動を継続されていた方全員が現在も透析中のペダルこぎを継続されています。更に今年は寝ながら出来る下肢〜体幹筋のトレーニングを導入し、積極的な転倒防止に努めたいと考えています。運動の効果を客観的に評価する手段についても検討したいと考えます。栄養面では高血流によるオンラインHDFを施行していることからアルブミン漏出が多いと推測される一方で、血中アルブミン量に経時的な減少傾向は見られず栄養状態は維持出来ていると考えています。効率の良い透析で血液中のPがあまり上昇しないことから、当院ではほぼ蛋白制限のない食事を推奨しており、管理栄養士にも積極的に関わって頂き栄養状態の維持・向上を目指したいと思います。栄養状態の向上は運動による筋力維持をより強力にサポートするものであり車軸の両輪といえます。

フットケアは白澤師長の講習修了に伴い昨年秋から本格的に始動しました。先月のブログで紹介したとおり、既に多くの足病変や病変に至るリスクファクターが拾い出されました。今年は更に透析患者固有のハイリスク状態を識別し、リスクに応じて観察基準や頻度を最適化するプロセスに進みたいと思います。ケアを体系化することでより効率的で可視化されたシステムとしての運用を目指します。

高効率で個々に対しきめ細かく最適化された透析(しっかり透析)により食事制限を緩和し、しっかり食べて、しっかり運動をする。その究極的な目標は「歩いて通える元気になるための透析」を長く続けることです。今年は更に骨折による運動能力の低下を回避することを目標に、骨粗鬆症の評価と治療介入を進めたいと考えています。既に長期にステロイドを内服している方、脊椎骨圧迫骨折や大腿骨頸部骨折の既往がある方を中心に、市内の整形外科クリニックに骨密度を測定して頂き、適応があれば骨粗鬆症治療薬の投与を開始しています。従来骨吸収を抑制する働きのあるビスフォスフォネート製剤は透析患者への投与は禁忌でした。最近では慎重投与ながら使用可能な製剤も開発されており、月一度の静脈注射で効果が持続する製剤もあります。透析患者の骨ミネラル病変は骨粗鬆症だけではなく骨回転を調節するホルモンの増加、これらホルモンやミネラルの血中濃度を感知する受容体の機能異常など様々な要素が複雑に絡みます。基本である血中リン、カルシウム濃度の適正化を中心に骨粗鬆症治療薬の併用により骨密度が回復するのか、年齢に応じた低下を抑制出来るのか、経時的な骨密度の測定で評価を行う予定です。このように適度な運動と「骨折しにくい骨」を維持する事で「歩いて通える透析」をサポートします。

一方、昨年は骨折や元々罹患されていた整形外科疾患の悪化により、2名の方がクリニックを離れてより介護度の高い施設に移りました。自宅での療養が困難となった場合の対応については、家族や関連施設のニーズを明らかにすることでより円滑な治療継続に繋がるよう各方面と緊密に連携したいと思います。





1月18日松本で開催された信州HFDカンファレンスに、院長、看護師、ME, 他総勢6名で参加してきました。長野県では550名強の患者さんがオンラインHDFを受けているそうです。全国平均の10%に比較し長野県では全透析患者の14%の方がオンラインHDFを受けており、本県はオンラインHDFが比較的普及している位置づけになります。オンラインHDFは既に臨床的な優位点が明らかでありポテンシャルの高い治療方法であることは揺らぎのない事実ですが、より効率的で非侵襲的で長期的に効果が期待出来る治療法として認知されるように、当院でも積極的な情報の吸収と吟味と発信に努めたいと思います。



今月の治療指標

造血ホルモン(ESA)の使用量はDOPPS IIIの平均値以下で推移していますが、Hbは適正内を維持し目標達成度も引き続き高い数値です。昨夏頃からリンのコントロールに特に気をつけてビタミンD製剤の調節を行っています。その結果リンの数値は良いコントロールが続いていますがPTHが高値を示す例が多くなった印象です。この結果を来週の定期処方に反映させて、リンとPTHの両立を目指します。Kt/V>1.2%は全員が達成、>1.6も9割を越えており多くの方が高効率の透析を行えています。




本日も冬型の気圧配置で既に外は氷点下。

それでも昼間に撮影した白木蓮の花芽は柔らかい毛に覆われて、ゆっくり大きくなっています。

今月から当院看護師が1名産休に入りました。育休の後およそ1年後職場復帰の予定です。「少子高齢化」が問題となって久しく感じますが一向に有効な解決策が出てきません。今後も進む高齢化に福祉の後退を伴わず対応出来る唯一の方法は、少子化の解消であることは誰もが感じるところと思います。微力ながら当クリニックでは労働基準法、男女雇用機会均等法を遵守し、生みやすい、育てやすい職場環境の提供に努めたいと考えます。





昨年は花付きの悪かったレンゲツツジも、今年は期待出来そう?




当院「美術監督」K女史作のフラワーアレンジメント

今年もクリニック内が明るくなります、いつもいつもありがとうございます!






まだまだ寒い日は続きますが、冬は冬の景色も楽しみつつ春を待ちましょう♪




須坂 腎・透析クリニック



  


Posted by Kidney at 19:41Comments(0)ひとりごと

2015年01月12日

KDC mail No.5 2015/01

須坂 腎・透析クリニックだより第5号(2015年1月号)です。











クリックすると元画像が開きます。







  


Posted by Kidney at 19:51Comments(0)KDC mail
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