2022年08月30日

盆過ぎて暑さは峠を越えて


お盆を過ぎて朝夕の気温が一時よりも過ごしやすくなり、夕風に混ざる虫の音を聞くと秋の気配も感じる葉月の終わりです。クリニックの中庭ではコムラサキの実に色が乗り始めました。もう2週間もすれば彼岸花の花茎が姿を現すことでしょう。




猛暑で開花を一休みしていたマリーゴールドも再び花を付け始めました。暑さがピークアウトしたことを示します。





同じく1度目の開花が終わり切り戻しておいたキキョウも2番花を咲かせました。





お盆を過ぎて新型コロナ感染者が急増しました。当院でも透析患者の感染、家族が陽性となったため濃厚接触者として対応が必要な方が同時多発したため、火木土の午後のシフトにおいて第2透析室を隔離し感染対策を強化しました。




ただし、第1透析室と動線分離が完全には行えないため、感染確定者は発症から10日の観察期間が終了するまで感染症指定病院に外来透析を依頼しました。これまでは透析患者が新型コロナウイルスに感染した場合は全例入院の方針でしたが、病床逼迫のため入院では無く通院での透析となりました。超高齢の方でしたがコロナワクチンを4回接種済みであり重症化すること無く経過観察期間を終えて既に当院に再編入されています。
「ワクチン接種を3回以上行っても感染するならば接種の意味が無い」との論調を耳にしますがこれは短絡的な結論です。免疫学の権威である阪大の宮坂先生は「社会全体で見ると、このようないわゆるブレイクスルー感染をするのは全体の1割程度です。残りの9割近くはブレイクスルー感染を起こしません。ただし、ウイルスをたくさん浴びると一時的に感染はするので、この点は要注意です(だから、必要な場所ではマスク着用が大事です)。」と述べています。少数例のブレークスルー感染を取り上げてワクチンの有効性を否定することは残念ながら誤った解釈です。更に重症化予防効果、long-COVIDとも呼ばれる後遺症の発症軽減にもワクチンは効果があると科学的に証明されており、小児も含めてなるべく多くの方が接種を済ませることを推奨します。

過去最悪の感染状況の中で働き手を確保する目的で政府は感染者の観察期間を短縮する方針を打ち出しています。新型コロナウイルスに感染してから7〜10日間は感染性のあるウイルスを排出するエビデンスがあり、医療機関など感染リスクの高い方が利用する場面においては10日の観察期間は短縮するべきではないと考えます。一方で自宅療養中の無症状感染者が買い物に出ることを許容する方向であるとの報道もありました。無症状や軽症者がほとんどであるオミクロン株の特徴を踏まえればこれは合理的な判断であると思います。ただし出掛ける際の感染予防策の徹底や必要最小限度の外出に限ることが前提となります。

帰省前に新型コロナウイルス抗原陰性を確認し帰省先で家族と飲食をし、帰宅後に症状が出現し帰省先の家族を含め複数名が新型コロナ感染症と診断された事例も経験しました。帰省先の家族は高齢で持病もありましたが幸い軽症で済みました(ワクチン4回接種済み)。
この事例から得られる教訓は、
1. 無症状者に新型コロナ抗原検査を行っても陰性証明になり得ない。
2. 発症の2日前から感染性粒子が飛沫として排出されるため無症状でも他人に感染させる可能性がある。
3. 帰省することが問題ではなく、帰省先でどのように行動するかが大切。


今年は行動制限の無い夏となりましたが、このように帰省で感染が広まってしまったケースも身の回りに多く散見されました。行動制限の無い自由を行使するならば、感染を広げない=他者に迷惑をかけない配慮も必要と感じます。



今月の治療指標の達成度です。



透析医会、当院独自指標共に大きな変化はありませんでした。個別にみるとお盆で食事内容が普段と変わった影響か極端な高カリウム血症や高リン血症が散発して見られました。お正月と同じ傾向です。食事が元に戻れば自然と修正されることを期待して経過観察とするケースがほとんどですが、原因食が思い当たらない場合や極端に高い場合はリン吸着薬などの増量も検討します。



南天の実、今年はたわわに実りました。初めから植えていたものでは無く気付いたら生えていた株でおそらく鳥が運んできたものです。二株あり鉢植えにしているため、赤く色づいたら玄関の両脇に飾ることが出来るかもしれません。

前述の宮坂先生は、ワクチンの適切な接種で感染リスクが1/5に減り、適切なマスク着用による飛沫暴露回避で同様に1/5、換気でエアロゾル感染を1/5に出来るならばそれら3つを全て行えば相乗効果でリスクを(1/5)↑3=1/125に出来ると感染予防の効果をわかりやすく伝えています。第7波を含め感染症との向き合い方は油断をしないことにつきます。油断をせずに社会活動を広げてゆく工夫が今後も必要と思います。

須坂・腎透析クリニック

  


Posted by Kidney at 15:42Comments(0)ひとりごと
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