2014年06月27日
20年目の6月
遠くに透明感のある入道雲が見える日が少なくなり、黒く重たそうな雲が空の一角に出現するや急速に発達し雷鳴に引き続き激しい雨が降る時期になりました。おかげで水撒きが簡単に済んで良いのですが(笑)
6月13日神戸で開催された日本透析医学会学術集会・総会に当院スタッフが演題発表してきました。開院以来取り組んできた高血流による高効率透析に関し、穿刺針の径と血流量の関係を検討した結果です。以下、発表の内容をご紹介します。
「高血流量透析における穿刺針の検討」
コンソールに表示された血流量が実際に確保されているか?との疑問から検討が始まりました。体外循環の経路で最も細い部分は「針」です。血流量を増やしたからには針も太くする必要があるのでは?しかし太い針は穿刺時の疼痛や抜針の後止血に影響する可能性がありどの太さが適切なのか?
血流量350と400ml/minで実際に回路を流れる血流量を測定しました。
設定血流350ml/minの場合です。実血流は必ずしも設定値まで到達しておらず、使用する針の太さも影響しています。
設定血流400ml/minでも同様の傾向が見られました。
一般的に使用される16Gよりも一段階太い15Gの方が明らかに実血流量が多く、更に太い14Gと15Gの間では有意な差は認められませんでした。
今回の検討では、15Gの太さの針を用いる有用性が示唆されました。
今回の発表には使いませんでしたが、250ml/min以上でも血流が増えると透析効率も増える事を示すグラフ。小分子の除去には有効と考えます。
発表中の図
今後は除水により血液が濃縮傾向を示す透析後半での実血流の変化と穿刺針との関係、血流増加と透析効率増加の関係を更に追求し次回の発表に繋げたいと考えています。
話は変わり院内撮影会コンペティション結果。
投票により上位三席が決定!
コンペと言えば透析医学会のフォトコンテストで入賞しました。
テーマは「水」
「明鏡止水」
撮影場所:某蕎麦屋さんの中庭
題名:佐久地方にある酒蔵の某銘柄と同じ(笑)
しかしながら学会のフォトコン、最初で最後になりそうな印象・・・
こちらは迫力ある「水」の流れ、新緑の「雷滝」
右から左へ流れる構図が似ている・・・マンネリ?
降雨後で水量がやや増していました。
さて、タイトルにある20年目。
今日は「松本サリン事件」が起きてから20年目の6月27日です。
当時私は信大の5年生で事件現場から少し離れた場所に住んでいたため被害を免れました。しかし現場近くに住んでいた友人の一人が入院、彼の住むマンションでは医学部の6年生が亡くなりました。同じ棟の最上階の西と東端の角部屋、彼の方がサリン発生源に近い部屋でしたが虫が嫌いな彼は窓を閉めていました。亡くなった方の部屋の窓は開いていたそうです。その夜、私と友人は20時過ぎまで学部のゼミに出席していました、かなり蒸し暑い夜だったと記憶しています。湿度の高い6月下旬の夜、窓を開けていたか閉めていたかで人生が変わってしまった20年前の今日。信州大学ではその前の年から某教団のポスターが学内の彼方此方に貼られ異様な雰囲気に包まれていました。ポスターは学内に留まらずキャンパス周囲の電柱という電柱に掲示され自治会の方が撤去する姿もありました。更には学園祭に教祖を呼ぶというこの上ない愚挙まで行われ、私を含め有志はその年の学園祭協力金の支払いをボイコットし抗議しました。
いかがわしいものへの警戒心が欠如し、何の疑問も持たないままそれに依存し、理性を失い凶行に至った人達。あれから20年、ネットの普及で多大な情報への簡易なアクセスが可能となった現在、玉石混交の情報を正しく吟味し選択する知性と、ある状況に無批判に依存し(ネット社会では匿名性への依存)理性や品性の欠落を招いてしまうことへの自戒は更に重要になったと感じます。
話が少々重くなったところで癒やし系のフォトを一つ。
「水」を飲むネコ(ノルウェージャンフォレストキャット)
ノルウェーの森では直接「清水」を飲んでいた名残でしょうか(笑)
ちなみに神戸往復のJRで読破したのもハルキ氏の「ナンチャラの森」、平易な文章で描かれた収束しそうで微妙にしない伏線、上品と言うよりはカジュアルな描写、比較的あっさり読めて、読中はそれなり共感もしましたが・・・あまり印象に残っていません。
松本サリン事件を生き延びた彼は私と同じ腎臓内科、先の透析医学会でもミーティングの時間を設け情報交換してきました。来月開業予定とのこと、おめでとうございます♪
いよいよ夏本番、夏バテしないように食事、運動、しっかり透析!
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 18:06│Comments(0)
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