2015年05月27日
梅雨前の夏日
前回のブログでは蕾だったフジ、程なくして満開となり同系色のミツバツツジとの対比がキレイでした。
春の花もピークを越えて緑が濃くなってきました。クリニック中庭では枯れていた白樺を取り替えて一年ぶりに「寄せ植え」が復活しました。
昨年ナツツバキの株下に植えたシランが今年も花を付けました。
梅雨入り前の気持ちの良い季節ですが、日中の気温が上がり脱水や紫外線対策にも注意が必要な時期です。
今月のニュースで政府は患者の服薬状況を一元管理する「かかりつけ薬局」制度を導入する方針を固め、来春のスタートを目指すという記事がありました。処方されながら服用されないいわゆる「残薬」が数億円規模で存在すること、複数の医療機関からの処方による薬の重複を減らすことが目的です。しかし現在「医薬分業」として行われている院外処方による処方内容のチェック機構も同様の目的から始められた経緯があります。つまり今回の見直しは現行の「医薬分業」が機能不全であることを示唆しています。それどころか医療機関と同一敷地内への薬局開設や薬剤師の医療機関への立ち入りを認めない等、利用者の利益に反する規制はむしろ高齢化への対応にそぐわないとも言えます。医療機関のある敷地に隣接してフェンスで不自然に分画された一角に薬局が開設されているケースを良く見かけますが、医薬分業の見直しも本質を吟味しないとこのようなフェンスが取り除かれるだけのザル法になってしまいかねません。一方でかかりつけ薬局以外では処方を受けられないような硬直した運用となれば、むしろ改悪となる可能性もあります。
残薬管理や相互作用のリスク管理に専門家である薬剤師が積極的に関わることは大切ですが、処方箋の発行元である医療機関が主体性を発揮出来る制度改革でなければ実効性のある改革にはならないと考えます。主治医が残薬や他科への診療状況・処方を把握し適宜調整を行い、薬局がそれをサポートする枠組みが必要なわけです。院内薬局がある規模の大きな施設ならば自己完結しますが「医薬分業」の制度に従い院外薬局に処方を依頼する構造にシフトしてきた多くのクリニックでは、改革の内容を良く見極める必要があると考えます。
クリニックにとっての「医薬分業」のメリットは、薬品の管理全般を外部に委託出来る事です。それにより在庫管理や薬剤師雇用による人件費の増加を抑制しつつ、選択肢の広い処方の構築が可能です。また有資格者である(つまり人数が限られる)薬剤師を集中的に配置することで、院外薬局における管理能力を担保することもメリットです。一方で患者さんと薬剤師さんの物理的距離ができてしまうことが「医薬分業」のデメリットです。移動に介助が必要な方は勿論、透析では治療に必要な拘束時間が長いため更に薬を取りに行くために時間を費やすことになりデメリットは拡大します。異論はあるかもしれませんが、院外薬局から医療機関への薬剤師の派遣を認めればメリットを最大限に生かしデメリットを極小化することが可能です。敷地のフェンスを取り除くよりも、新たに敷地に薬局を設けるよりも、一定以上の管理能力を持った既存の院外薬局と医療機関との協力体制を公平性を保ちつつかつ円滑に行えるような制度を構築することが最も望ましいと考えます。
要点は
処方箋発行者である医師が主体的関わらなければ、残薬や重複の問題は解決しない。
医師と薬剤師と患者の物理的な距離は近いほど良い。
経営や人的資源を考えると医療機関ごとに薬局を配置することは無駄。(病院を除く)
制度疲労した規制を撤廃し、既存薬局と医療機関の協力を柔軟に認める事が必要。
母の日の前の週
当院、美術顧問のK女史が講師となりフラワーアートの製作教室が開催されました。
善光寺では御開帳が開催されました。
善の綱で結ばれた回向柱。
個人的には柱よりも
夕方の風に舞う、五色の旗の方が被写体として魅力的でした(汗
今月の管理指標の達成度
PTHの分布において極端に高い方が散見され、平均値に大きな変化は無いものの達成度が低下しています。原因を検討したところ夕食後あるいは眠前に服用する薬の飲み忘れと関係がありそうでした。PTHの上昇にブレーキを掛ける薬剤のうち、レグパラ錠は眠前に服用すると効果的とされ当院でも服用のタイミングは眠前ないし夕食後としています。そのため服薬が不規則となり予想される効果が得られていないと思われました。内服の効果を評価する際に服薬出来ているか否かも考慮し、むやみに薬を増やさないように留意します。
低いほど予後が良いとされるβ2MGが22mg/L台まで低下しました。透析条件や設備面で大きな変更はありませんが、透析液の清浄化がしっかり出来ている証拠と考えます。
エゴノキに一斉に白い花が咲きました。
遅ればせながら百日紅も芽吹き、夏の頃の花が楽しみです。
魚眼シリーズ最後は白樺、涼しげな姿は夏の癒やし系樹木です。
先月は臨床工学技士1名とパート看護師1名、今月は常勤看護師が1名入職しました。しっかりとした透析を安全に行い、栄養や運動をはじめ十分な全身管理を進めるためマンパワーもアップしています。来月には当院で行ってきた高血流・高効率透析の臨床効果を、横浜で開催される日本透析医学会で発表する予定です。
そして、先月から進めている「透析患者さんの歯科受診の勧め」キャンペーンの結果、何名かの患者さんに治療が必要な状態がみつかり早速治療が開始されています。これに伴い抜歯後の抗生剤の容量、痛み止めの使い方などで複数の歯科クリニックと連携しました。口腔環境を良くすることで栄養状態の改善や血管病変の進行、認知症のリスク軽減など多くメリットを享受出来るとされます。まだの方は早めに歯科受診をしましょう。
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 18:46│Comments(0)
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