2015年06月26日
水無月なれど五月雨
六月も終盤になりやっと梅雨らしい長雨が降っています。スコールのような騒がしい雨よりも、しっとりと降り続ける雨の方が情緒があるように思います。
クリニック中庭は梅雨〜初夏の花に主役が変わりつつあります。3年目となりギボウシやヒューケラなどのグランドカバープランツも立派になってきました。
本日は横浜で開催されている日本透析医学会で当院の臨床工学技士がポスター発表を行いました。(午前中の発表なので、既に公表されたものとしてブログで取り上げます)高血流による高効率透析の有用性について開院から約2年間のデータをまとめた発表です。
血流量と透析効率(Kt/V)との関係です。オンラインHDFを開始した2013年6月から追跡可能な51名についてグラフ化しました。250ml/min以上の血流ではKt/Vの上昇率は頭打ちになる印象を持っていましたが、実際は300ml/minを越えてもリニアに増加しており透析効率の増加、特にリンやカリウムなど小分子物質の除去に寄与していると考えられます。
一方でアルブミンの漏出による低アルブミン血症が危惧されましたが、
常に全国平均値を上回っており長期的な低下傾向もありません。可能な範囲で蛋白制限を緩和しておりますが血清無機リンも平均値を下回り、毎月提示しているように目標である6mg/dl以下の割合は常に90%以上です。
低いほど予後が良いとされるβ2MGの推移は、
オンラインHDF開始前から追跡可能な約20名で推移をみたところ開始1ヶ月で有意に減少しており低値を維持しています。透析患者さん全体では先月22mg/L台となっています。
更に高血流を維持するための穿刺針口径の検討やバスキュラー・アクセス(シャント)管理についても触れています。
設定血流量と実際に確保出来ている血流量の差を見ています。一回あたりの除水量がDWの6%前後では乖離率に有意差は認められませんでした。一方で昨年の発表で有意差が無かった15G針とより太い14G針に有意差が検出されました。本年の方がより高い平均血流量で測定されていることから、400ml/minに近い領域では14G針の方がより設定血流量に近い血流を確保出来る可能性が示唆されました。ただしその実血流量の差が臨床的に意味のあるものか否かの判断は、透析効率を含めた別のパラメーターで吟味する必要があります。
バスキュラー・アクセス管理は高血流を担保するため必要不可欠です。設定血流が高いと脱血不良が感知されやすくなります。また静脈圧の変化は脱血量の低下よりも若干早く、変化量はより大きく表れるケースがあり、症例の蓄積が必要ですが血管狭窄のサインとして有効な可能性が考えられました。
演者を含め3名が本日金曜日より会場入りしていますが、明日は私を含め更に5名が会場入りし勉強してくる予定です。
昨年、患者さんから頂いた多年草「マツモトセンノウ」今年も咲きました。朱色の花弁が緑に映えます♪
今月の管理指標の達成度
Hb, Pともに90%以上を維持しています。貧血の管理については鉄過剰の有害性を考慮しフェリチン値を低めに誘導しています。以前は平均200g/mlを越えていましたが緩徐低下傾向にあります。今のところESAの使用量に有意差は出ていません。
シャラの木、蕾は翡翠に例えられています。
シャラの花、1日しか保たない儚い白い花ですがむしろ風情を感じます。
今月末でパートの看護師さんが1名退職されます。カルテの記載がとても丁寧で回診の際に役立ちました。Kさん、お疲れさまでした!
先月入職した看護師さんは回路の組み立てに携われるようになりました。透析看護の経験がある方ですが、当院のマニュアルに沿って安全に業務をこなせる様にゆっくりながらも確実にステップアップしています。
来月はパート看護師さんが関東方面に三日間の研修に出掛ける予定です。自発的に研修を申し出てくれました。クリニックではスタッフの学会や研修への参加を積極的に勧めています。(参加費、旅費はクリニックが負担します。)勉強したことが仕事に生かせること、仕事で生じた疑問が勉強で解決できる体験を通じて現場のレベルアップに貢献できればと考えます。
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 17:12│Comments(0)
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