2015年10月28日
晩秋、神無月の終わり
この数日、クリニックの前に広がるブドウ畑の葉が色付きを増してきました。最低気温が一桁になると紅葉の進み方にも拍車がかかります。写真は玄関脇のジューンベリー。
色付くブドウ畑(10/29追加)
10月、神無月のはじめの頃。今年も金木犀が咲き秋風が芳香を運んでいました。
一方、下旬になると庭木の紅葉も本格的に、写真はハナミズキ。
今年はインフルエンザの流行が早く既に始まっています。クリニックでも先週から予防接種の取り扱いを開始、多くの透析患者さんは接種を終えました。来週までにはスタッフの接種も完了します。
また新聞などでも取り上げられていますが、今季は変異型ノロウイルスが検出されており大流行が危惧されています。変異型ウイルスと言ってもインフルエンザの様に致死毒性が急に高まるわけではありません。ただし変異型ウイルスは過去にヒトと接触したことが無いため、感染した場合抗体産生に時間がかかりその間に二次感染が拡大しやすいと言えます。残念ながらノロウイルスは培養方法が確立されておらず現段階で有効なワクチンや抗ウイルス薬は開発されていません。食事前やトイレの後の手洗いを徹底して、感染を予防することが大切です。店舗の入口などでよく見かけるアルコール消毒ではノロウイルスを完全に失活させることは不可能であるため、石けんを良く泡立てて流水でしっかりウイルスを洗い流すことが大事です。(石けん自体に消毒効果はありませんが、皮脂汚れを落とすことでウイルスが手指から剥がれやすくなる効果が期待されます。)
イチイの実、甘く果実酒にも使われる様ですが種には有毒アルカロイド(タキシン)が含まれるため種子を誤って飲み込むと呼吸困難で死亡する場合もあります。このタキシンは実だけではなく果肉を除く植物全体に分布しており、抗癌剤パクリタキセル(タキソール)は当初セイヨウイチイから単離されました。
今月の管理指標の達成度です。
リンのコントロールが良い状態を継続できており、図中にはありませんが血中カルシウム濃度<10.0mg/dl以下と先月のiPTH<240pg/mlと併せてリン、カルシウム、副甲状腺ホルモン(PTH)の何れもが許容内にある患者さんも90%前後に達します。生命予後との関わりではP>Ca>PTHの順ですが、当然全て許容の範囲であることに越したことはありません。毎月の採血の結果を内服薬および栄養管理に反映させて現状の高水準を維持したいと思います。貧血管理では組織への鉄沈着を予防する目的で意図的にフェリチン値を下げてきました。その結果ESAの使用量は若干上昇しています。また鉄欠乏のボーダー上の方も増えてきたため投与期間をより細かく設定した上で鉄剤に投与を行っています。
今月は年に一度の便潜血検査の月でした。過去に大腸ポリープ等を指摘され定期的に大腸カメラを受けている方を除く全員に行っています。数名の方に陽性反応が出たため、関連の施設に大腸カメラを依頼しました。昨年、一昨年と便潜血陽性のため内視鏡検査を受けたところ早期大腸癌が見つかり内視鏡的切除術を受けて完治したケースがありました。消化管の病変は採血では見つかりにくく自覚症状も早期には出ないことの方が多いものです。透析患者さんでは胃検診による胃癌の発見率は一般集団健診よりも5〜8倍高いとされます(2015年度透析専門医セルフトレーニング問題より)。当院では胃カメラは原則一年ごと、大腸カメラは便潜血陽性の方にお勧めしています。透析管理だけでなく内科的な全身管理も併せてきめ細かく行いたいと考えています。
コムラサキの実を接写、小柄なブドウのようです。
同じく宵明けのオシロイバナを接写、花弁のしおれ具合がいと幽し。
春に植えたマリーゴールド、暑い時期に元気を失っていましたが復活しまだ咲いています。
サンシュユの朱い実、生薬になるそうです。
今年も残り二ヶ月、晩秋から初冬に季節も移ろい始めました。
手洗い・うがい・人混みでのマスク、感染予防に留意しましょう!
"Trick or Treat ?" "Treat well and eat well!"
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 16:39│Comments(0)
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