木々に囲まれた透析クリニック

今年もゲンペイボクの花が咲きました。伸び放題であった蔓をばっさり整理したので樹勢の衰えが心配でしたが、昨年よりも多くの花を付けています。そろそろろ大きい鉢への植え替えの必要があるかもしれません。





透析待合室から見る中庭、緑が濃くなってきました。



クリニックの一ヶ月のスケジュールで最も忙しくなるのは、定期検査週とその次週にある説明回診。そして検査結果を反映した次回定期処方の入力が終わるとホッと一息つけます。その間に職員検診、歯科受診の聞き取りなどを行いました。歯科受診については昨年末に一度聞き取りを行い多くの患者さんに受診をお勧めしました。症状のある方はなるべく早く、症状の無い方でも「温かくなったら受診しましょう」と。そして半年経って大分温かく〜暑くなって来たので再度状況把握と受診のススメです。この半年で自主的に受診をされた方も多く、通院手段のない方には送迎サービスのある歯科の紹介も行いました。しっかり栄養を摂るには、その入口である歯や口腔内の環境整備も大切です。高齢の方では肺炎予防にもつながります。症状が無くても最低年一回の歯科受診をお勧めします。




今月の管理指標の達成度です。

項目が多岐に渡って見づらくなってきたため、1枚目に日本透析医会指定の項目を。




2枚目に当院独自指標と分けました。


更に日本透析医学会の「2014年12月31日現在 わが国の慢性透析療法の現状」から当院で採用している前希釈オンラインHDF群の平均値を引用して表示しました。日本透析医会指定項目では透析時間のみ若干短いものの、他の指標はいずれも全国平均よりも良好な数値を示しています。透析時間が若干短いにもかかわらず透析効率(spKt/V)が高いのは高血流が影響しています。これは二枚目の独自指標を見れば明確です。冬期に上昇したβ2MGも昨年同様温かくなるとともに低下傾向を示し今月は前値で24mg/Lを下回りました。

高血流高効率を行う一方でアミノ酸漏出による低栄養化が心配されますが、血清アルブミン値は全国平均よりも高く蛋白摂取量も若干多めです。筋肉量を示す%CGRが低いのは全国平均よりも高齢化している影響と思われますが、無理の無い範囲での運動療法で筋肉量の維持および拡大を目指したいと思います。

以前のブログでも触れましたが、リンの高い方に栄養指導を行う際に気をつけなければいけないのは、添加物に含まれる無機リンの存在です。今週参加した慢性腎臓病と骨ミネラル代謝の研究会でも講師の先生が蛋白質中のリン含有量の違い、植物性・動物性の違いに加えて食品添加物からのリン摂取について触れていました。

いくつか興味深い話題がありましたが、例えば清涼飲料水、ファンタやアクエリアスはリン含有量が0なのに比べてコーラ類は500ml1本で約80mg、なっちゃんオレンジに至っては141mgのリンが含有されています。同じ炭酸水でも含有量が随分と違うものです。またミネラルウォーターでは硬水におけるリン含有量が高く注意が必要とのことでした。食事療法が徹底されているにもかかわらず高リン血症が改善しないある患者さんの食生活を精査したところ、硬水であるVolvicでご飯を炊いていたとの実例も紹介されました。

透析患者さんのリン管理においては「蛋白制限をした群より制限しなかった群の方が長生き出来た」という報告もあます。よってしっかり透析を行い、添加物の少ない蛋白質を中心に栄養をしっかり摂り、それでも上昇した分はリン吸着剤でコントロールすることが重要です。






今月号のクリニック便りで紹介した趣味の工作作品、患者さんが持って来てくれました。





透析待合室に展示中です♪





来月から増築工事が始まり10月末には完成予定です。透析ベッドに余裕が出来る分、長時間透析の導入を積極的に進めたいと考えています。また当院で透析を希望され予約中の皆様、適宜ベッドコントロールを行っていますが機能的満床が続いております。増床まで今しばらくお待ち下さい。



須坂 腎・透析クリニック