2018年10月25日
天高く実りの季節の神無月
リンゴや柿の木が賑やかに色付き、彩りもキレイな大粒のブドウが商品棚に並ぶ季節になりました。稲の刈り入れはほぼ終わり、新蕎麦も出回るようになりました。食用ではありませんがクリニック中庭の草木も実を付けています。
猛暑で花付きが途絶えていたナスタチュームとマリーゴールド、特にナスタチュームは大半が枯れてしまいましたが生き残った株が再び花を付けるようになりました。春と秋と二度楽しめる一年草です。
最も早く葉が色付いたのはナツツバキ、手前は常緑樹イチイとその赤い実。この時期だけの美しいコントラストです。
予てからの計画通り血液濾過透析に用いる浄化器(ヘモダイアフィルター)の選択肢を増やしました。当院では従来アルブミン漏出量がカタログ値で3.0g/4h前後の浄化器を使用していました。
なるべく生体適合性の良い浄化器を選択する方針でPS膜は基本的に採用せず、PES膜であるニプロ社のマキシフラックスシリーズからMFX-Seco、ATA膜であるニプロ社製ファインフラックスシリーズからFIX-Seco、さらにPS膜ながら独自の親水性ポリマーを配合したNVF-Hシリーズ等が主力です。更にここ半年は血液側から透析液側への蛋白漏出の駆動力になるTMPを抑えるためにより大きな膜を使う傾向でした。
TMP(東レの4点式測定法)<150mmHgを目標に調節して来ましたが血清アルブミン値(Alb)の有意な上昇は認められなかったため、Alb 3.5g/dl未満の方を対象にアルブミン漏出量が1.0g/4h以下のファインフラックス FIX-Eecoを新たに導入しました。最も使用頻度の高い2.1と2.5㎡で今週から使用を開始しました。これにより血清アルブミン値の上昇が得られるか検証します。同時にβ2MGの除去率が低下しないか、α1MG領域の除去率が低下することによる不具合が生じないか綿密に追跡したいと思います。
イチイの実、イチイはこの赤い実以外全て有毒です。特に種は4-5粒で致死量になり得る毒性があるとされます。
今月の治療指標の達成度です。
透析医会の項目は全て90%以上の達成度を今月も維持しています。spKt/Vも導入間もない1名を除き全て1.2以上、良好な生命予後が期待される1.8以上も80%を越えました。栄養指標は横這いが続き悩ましいといころです。対策として体重増加の多い方向けに減塩と体重コントロールを理解して頂く目的で行うことが多かった栄養指導に、カリウムやリンが低い方向けに「もっと食べても大丈夫」をコンセプトにした介入を本格的に開始しました。カリウムもリンも一度高値を経験すると次の月から過剰に減らしてしまう傾向がみられるため、指導も数ヶ月継続して行う方針です。特にカリウムは透析前6.0mEq/LまでOKとし、今が旬の果物も「ここまでなら食べても大丈夫」と例示して摂取を勧めています。また血糖値が気になる方には三度の食事のすぐ後にデザートの位置づけで食べると血糖への影響が少ないため、このタイミングでの摂取を推奨しています。
空が高くなりました。朝夕の気温は次第に低下し季節の変わり目真っ只中です。
空気が乾燥するとウイルス性感染症が増加しインフルエンザの流行も始まります。来月中旬以降を目安にインフルエンザの予防接種を受けるとともに、食欲の秋を生かして栄養状態のアップに努め感染予防に繋げましょう。
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 17:21│Comments(0)
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