2019年07月29日
台風去りて梅雨空けの猛暑
先月は咲き始めの紫陽花でしたが今月に入り満開となりました。先週末に台風で少し遅れた梅雨明けですが、そろそろ明けて猛暑が到来しそうな気配です。
桜の周りの紫陽花、今年は赤よりも青系の花が多く見られました。
一方でもみの木周りは赤系が多く咲いていました。
同じ株でもグラーデーションがかかり見るものの目を楽しませてくれます。
6月29日横浜で開催された日本透析医学会学術集会で、当院の小林祐介臨床工学技士がポスター発表を行いました。透析は本来腎臓から尿として排泄される老廃物を腎臓に代わり血液中から除去する治療法です。老廃物のみ効率良く除去出来れば良いのですが物理的な特性からどうしても体に有用な一部の栄養素まで除去されてしまいます。
除去された栄養素を補うだけの食事摂取量が確保出来ていれば問題無いのですが、高齢者や病中病後で食欲が低下した際には漏出した栄養素を補いきれずに栄養状態が低下してしまう場合があります。当院では老廃物の除去に際して栄養素の損失をいかに少なくするかの取り組みを行い、静脈側の透析回路の系を大きくすることで栄養成分である血清アルブミンの漏出に関わる圧力(TMP)を抑制出来る可能性を検証しました。確かにTMPは低下しましたが短期的には血清アルブミンの上昇はきわめてわずかな変化でした。更にアルブミン漏出量の少ない膜を導入して検証を継続していますが、先月のブログでも触れたとおり治療条件の工夫のみでは栄養状態の画期的な改善は当然困難です。
治療条件の工夫や調節は必要ですが、患者さん一人一人がしっかり「食べる」事の出来る環境を整えていくことも大事であり、ご家族やケアマネなど療養を支える多職種との連携が更に重要になっていくものと考えます。
今年はナツツバキも例年以上開花しました。開花時間が短いためじっくり鑑賞出来ないのが残念です。
オレンジ色の花弁が映えるマツモトセンノウ。一株だけ毎年咲いていましたが今年は沈黙・・・そこで4株取り寄せて新たに寄せ植えしてみました。
今月の治療指標の達成度です。
透析医会の評価項目は今月も全て90%以上を維持しています。先々月葉酸欠乏と診断され治療を開始したケースはその後消化管出血の合併が明らかになり内視鏡的止血術が施行されました。結腸の動静脈奇形からの出血が疑われており、何らかの理由で動脈性出血を来した可能性がありました。それまでの大腸検査で病変を指摘されたことは無く、ESA抵抗性以外鉄欠乏の所見もみられなかったことから、消化管出血の予見が困難な症例でした。
血清Pはやや低下しましたが栄養指標も軒並み低下傾向にあり、猛暑による食思不振が今年も始まりつつある印象です。急な気温上昇に伴い血圧低下や耳性めまいを訴えるケースも散見され、夏の環境に体が十分慣れるまで注意が必要です。エアコンも積極的に利用し過ごしやすい環境を作りましょう。その際大切なのはエアコンの温度設定、エアコン本体の設定温度では無く室内の温度計の数値を参考にすることが大切です。
背の低いキキョウは紫色が多く、1m弱ほどの背の高いキキョウはほぼ白です。背丈を規定する遺伝子と花弁の色を規定する遺伝子に相関関係があるのでしょうか?背景は紫陽花、被写界深度を浅くしてぼかしてみました。
擬宝珠の花。
透析の定期検査は中二日空きの初日(月火)に行うことが常のため、月曜休日が多い昨今では検査機関も休日のため施行日の設定に苦慮します。今月も個別解析→全体解析→公表がギリギリでした(汗。
暑くなると食欲が低下し栄養指標も低下しますが、今年もその傾向が現れつつあります。治療条件の工夫のみではカバーすることは難しく、結局しっかり食べないことには根本的な解決には至りません。
食べることで体重増加を懸念する方もおられますが、食品中の含水量さえ気をつければ便秘がない限り固形物で体重が極端に増加することはありません。
夏は始まったばかり、しっかり食べて体調を維持して夏バテ知らずの夏にしましょう!
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 20:28│Comments(0)
│ひとりごと