2022年12月28日
White Christmasと雪かきの師走
昨年は12月初旬に降雪が多くそのまま根雪となりました。今年は中旬を過ぎても雪が積もることは無く経過していましたが・・・
12月24日の朝、夜半から降り続いた雪で一面が銀世界になりました。予報では数センチだったはずが二十数センチの降雪、しかも昼を過ぎても降り止まず15時頃から本格的な雪かきを開始しました。当日の夜は全身の筋肉が重く、箸を持つ手が若干振るえました。
恒例のクリスマスツリー。期せずしてWhite Christmasになりましたが、雪かきの事を考えると情緒を味わう余裕は・・・ほんのわずかしかありませんでした。
長野県内の新型コロナ陽性者数は統計を見る限り増加傾向こそありませんが、高止まりの状態が続いています。透析患者の中にも罹患者が同時多発するようになり、発症者および濃厚接触者は一定期間個室または個室に準じた隔離スペースで透析を行っています。同居する濃厚接触者から献饌する方も多く接触から5-6日目の発症など、オミクロン株の平均的な潜伏期間よりも遅れて診断された例もありました。ウイルス学的には発症から10日間は感染性粒子を排泄する可能性があるため、この原則に従い隔離期間を設定しています。
当院では全職員および全透析患者が5回目のワクチン接種を完了しています。5回目の接種を完了しても発症することを以てワクチンの効果を疑問視する向きもありますが、大切なのはむしろ重症予防にあります。現在ゼロコロナ政策が破綻した中華人民共和国では猛烈な感染爆発が生じており、当局はアナウンスしていませんが相当数の死者が出ている様子です。つまり集団免疫が形成されていなければオミクロン株でも相当数が重症化し死亡例も出てくることを意味します。これはオミクロン株が弱毒化したわけでは無く、罹患者数の増加とワクチン接種によりある程度集団免疫が形成されたため重症化に一定の歯止めがかかっているためです。しかし罹患者が増加すれば更に変異株が発生するリスクも高まるため(最近では種を越えた感染で更に厄介な変異株が出てくる可能性も示唆されています。)、なるべく感染しない、感染させない努力が未だ求められていると感じます。効果が証明されているmRNAワクチンの接種と超過死亡数の減少とは相関しており、多くの方が自分の健康のために或いは集団免疫の形成という社会貢献のために、適切にワクチン接種を受けていただくことを希望します。
先月も登場した当院の定期検査報告書です。Dataの1段目には栄養の指標となる血清アルブミン値とその横に血糖値(Glu)そして一ヶ月の血糖値の平均に相当するグリコアルブミン(GA)があります。当院では血清アルブミン≧3.5g/dlが第一目標で、≧3.8を最終目標にしています。グリコアルブミンはあまり耳にしない項目ですがヘモグロビンA1cの代わりに測定しています。腎不全患者の多くは造血ホルモンであるエリスロポイエチンの腎臓での産生が低下するため、薬として補充する必要があります。すると血液の赤い色素成分であるヘモグロビンの値が変動するため、ヘモグロビンに結合したブドウ糖の割合を示すヘモグロビンA1cの値も揺れ動いてしまします。故に透析患者ではヘモグロビンと比較して変動の少ないアルブミンに結合したブドウ糖の割合を測定するグリコアルブミンを使用します。ガイドラインに従い目標値は20%未満、低血糖のリスクが高い例などでは24%未満としています。血清アルブミンが低く、血糖値に余裕があるケースでは炭水化物や脂質といったカロリーの摂取アップを勧めています。糖尿病治療中の方には三食を十分に摂り間にはなるべくカロリーを摂らないことを、そうで無い方には間食も利用したカロリーアップを推奨しています。2段目以降の項目は来月のブログにて。
先月と比較して大きな変化はありませんでした。貧血のコントロールは99%達成されています。残り1%は出血など腎不全とは別の病態でHbが低下しているケースで各個適切に対応を開始しています。やはり秋から冬にかけての季節で栄養指標の一つ血清アルブミンは高くなる傾向です。添加物として摂取される栄養にならないリン(無機リン)も年末年始に高くなる傾向ですが今月のデータでは多くの方で許容内を維持出来ていました。
一晩で積もった雪ですが、
大分少なくなりました、根雪も春には溶けて無くなります。
武漢で発生しパンデミック化したウイルスは中々自然には消えてくれそうにありません。風評(一部マスコミを含みます)に踊らされず、科学的リテラシーに裏打ちされた情報を常に取り入れ、来年も粛々と対応したいと思う師走の午後でした。
2022年もあとわずか、皆様良いお年をお迎え下さい。
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 15:52│Comments(0)
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