2015年07月29日

台風そして猛暑


涼しげなギボウシの花です。台風からエネルギーチャージされた太平洋高気圧が元気になりすぎて、いきなり猛暑の梅雨明けとなりました。この時期は日中室内で仕事が出来ることに感謝です。





白樺の根元の山野草、昨年患者さんから株を分けていただき植えた宿根草。涼しげな佇まいです♪




先月末に横浜で開催された日本透析医学会学術集会に参加してきました。当院からは小林MEがオンラインHDFによる高血流高効率透析の有用性について発表しました。透析医学会は医師のみならず看護師や臨床工学技士による発表も多く、内容も基礎研究から臨床まで幅広くモチベーションを大いに刺激する学会です。その中で京都大学iPS研の長船先生による「透析と再生医療」の講演が印象的でした。長船先生の講演は数年前に松本でも拝聴したことがあり、ベースの部分は概ね同じでしたが研究の方向性は腎臓そのものの再生を目指しながら、iPS細胞を使った腎不全治療、透析導入原因として最も多い糖尿病の治療、腎性貧血に対するエリスロポイエチン(造血ホルモン)産生細胞の誘導など多岐に広がっていました。更に7月22日にはヒトiPS細胞由来の腎前駆細胞を使った細胞移植で、急性腎障害(AKI)モデルのマウスに治療効果が認められたとの発表が京都大学からプレスリリースされました。

通常腎臓を構成する細胞の元である腎前駆細胞、これをiPS細胞から作りだし(分化誘導し)人為的に急性腎不全を起こしたマウスに投与したところ、投与しなかったマウスに比べて腎機能を表す数値や腎臓の組織に改善がみられたとのことです。ただし、移植された腎前駆細胞が腎臓を構成する細胞に成長し定着したわけではなく、腎前駆細胞から分泌される様々な腎保護因子が組織を構成する既存の細胞に働いて障害を軽減させたようです。

再生医療のカギとなるiPS細胞、現時点で応用出来ていることは同系統の細胞に分化させ移植することで臓器保護作用を示す、疾病を持つ患者の細胞からiPS細胞を作成して疾患モデルとする、辺りまでです。視細胞に関しては移植して機能するレベルまで到達の目処が立っているようですが、三次元的に臓器そのものを再生し移植する段階に到達するにはまだ時間がかかりそうです。

十数年前の大学院生時代、博士論文のテーマが腎保護作用のある物質の一つHGFでした。この物質を投与することで腎前駆細胞が示したような急性腎不全モデルにおける臓器保護作用が示され、また腎組織の不可逆的な変化(線維化)を抑制し慢性腎不全の治療にもつながる可能性が論じられていた頃です。末梢血管に対するHGF遺伝子治療は現在も臨床研究が続いているようですが、腎臓に関してはiPSに置き換わってしまった感が強いです。医学は着実に進歩しており、もう十数年したら再生臓器移植など更に画期的な治療法が生まれているのかもしれません。




今月の管理指標の達成度です。
新規導入の患者さんの血流量が次第に高くなり、全員Kt/V>1.6を達成出来ました。一方で暑さによる食思不振でリンやカリウムが低めになる方もいて、逆に透析量を低めにするケースもあり血流量の平均はほとんど変化していません。貧血、リン、iPTHの達成度はいずれも90%を越えました。

iPTHの管理についてはカルシウム濃度を上げずに(むしろ低下させる)ホルモンの分泌を抑制するシナカルセト塩酸塩(レグパラ錠)の12.5mg(従前は25mg錠と75mg錠のみ)が使用可能となったためより細かな調節が期待出来ます。同じホルモンの分泌を抑制するビタミンD製剤に比較し、シナカルセト塩酸塩は休薬した際のホルモン値の戻りが早い印象です。iPTHは高すぎても低すぎても問題であり至適値(60-180pg/ml, 2006年日本透析医学会)にコントロールする必要があります。シナカルセト塩酸塩の投与により速やかにホルモン値が低下したため、更に低下しないように休薬すると次の検査の際には急上昇するケースも散見されました。以前は最低用量の25mg錠を隔日投与、透析日のみの投与、週1回投与と工夫してみましたが、毎日服用する薬剤と比べて変則的な飲み方は患者さんにとっても負担だったと思います。今回12.5mg錠の処方によりこれらの問題の一部が解決しそうです。

今月から貯蔵鉄の指標フェリチン(ferritin)について300ng/ml未満を適正値として達成度を表示します。フェリチンの適正値については過去にも触れましたが300ng/ml台でも過剰な鉄の組織への沈着の可能性があるとする報告もあり、高値では生命予後にマイナスに作用すると認識されています。当院でもここ半年ほどは意識してフェリチン値を下げてきました。造血ホルモン(ESA)の使用量がやや上昇傾向にあるのはその反動と思われます。

低いほど良いとされるβ2MGは5月同様22mg/L台を維持しています。


数値が良いことだけが必ずしも良い治療とは限りませんが、診療報酬に見合う高水準の治療を提供しているという透明性を担保する客観的な指標として毎月の公表を今後も続けたいと思います。

当然ながら数値に表せないない部分にも妥協はしません。まだ3年目の若い組織で至らぬ点もありますが、透析患者さんにより良い治療を安全かつ快適に受けていただくことを基本に、スタッフ全員が理念を共有しつつ日々精進する所存です。





夏の花「ノウゼンカズラ」






ピークは過ぎましたが紫陽花もまだ咲いています。



暑い時期が続きます。
脱水に注意して、しっかり栄養を摂って、夏を乗り切りましょう!


須坂 腎・透析クリニック  


Posted by Kidney at 18:32Comments(0)ひとりごと

2015年07月22日

KDC mail No.7 2015/07

須坂 腎・透析クリニック便り KDC mail No.7です。












クリックすると元画像が開きます。







  


Posted by Kidney at 19:20Comments(0)KDC mail
QRコード
QRCODE
インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 3人
プロフィール
Kidney