2024年05月24日

GW明けの五月、晩春と初夏の狭間

GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
クリニック駐車場の北西、サインボードの隣の緑地。ライラック、ハナミズキそしてシバザクラの花が終わると数種類寄せ植えしているラベンダーが見頃になります。


GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
玄関向かって右手のサツキもピークを越えて来ました。手前のライラックの樹勢が年々弱まっていることが若干気がかりです。向かって左側のジューンベリーの実も大分大きくなって来ました。



GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
中庭のハクモクレンの周りに植えられたコデマリ、一部はまだ蕾です。



GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
その隣のエゴノキにも花が付きました。下向きに鈴なりに咲く白い花は下から見上げるとキレイです。



GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
エゴノキと手前のシラン。スマホの広角レンズも中々優秀です。




2024年5月 治療指標の達成度
GW明けの五月、晩春と初夏の狭間

GW明けの五月、晩春と初夏の狭間

日本透析医会の項目では血清リンの高い方がいつもより多い印象です。個別にお話しを伺うと、乳製品を毎日摂るようになったケース、連休で家族が集まり肉類の摂取が大幅に増えたケース、骨粗鬆症の気があると指摘されカルシウム補給目的で小魚を食べるようになったケースと様々でした。原因が特定出来ない場合は食事内容1週間分を記録して貰い、管理栄養士さんと相談する機会を設けます。一方でカリウムやリンについて高すぎて何とかしたい方々よりも、余裕があるのでもっと食べてほしい方々の方が圧倒的に多い傾向です。そこでミネラル成分から考えた透析食についてまとめてみました。


「ミネラルから考える透析食」
血液透析では本来腎臓が行うはずの水分やミネラルのコントロールを、透析や濾過といった物理現象を応用して腎臓のかわりに担っています。しかし血液透析は本来腎臓の持つ役割の10〜15%程度にしか相当しないため、食事療法や薬物療法を組み合わせてやっと十分なレベルの腎不全管理に到達します。
透析を受けている患者さんの食事内容は一般的に「透析食」と称されます。腎臓から主に排泄されるカリウム、そして骨代謝とのバランスでコントロールされるリンも腎機能低下により排泄されにくくなり、透析食では何れも摂取量に上限が設定されます。また食塩の成分でもあるナトリウムは体水分量に大きく影響(厳密には細胞外液量)するため、やはり摂取量に上限があります。

1. カリウム:透析前<6.0 mEq/L, 透析後>3.0 mEq/Lを摂取量目安1,500〜2.000mg/day
1日1,500mgのカリウムは日本人の成人の標準的摂取量の半分くらいです。透析の効率が高くなると除去量が増えて透析後のカリウムが低くなりすぎることもあり当院では透析前カリウム濃度6.0mEq/Lまで許容内としています。特に女性はカリウムのリザーバー(貯留場所)とも言える筋肉量が少ないため透析前のカリウム値が同じでも男性に比較して透析後のカリウムが低くなりがちです。(筋肉量が低下した高齢の男性でも同じ事が言えます。)カリウムは細胞内に多いミネラルのため生の細胞成分で校正される生野菜や果物に多く含まれます。同じ細胞成分として肉や魚にも含まれます。
GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
蛋白源としての肉や魚は十分量の確保が大切なため一般的には野菜や果物の摂取量で調整されることが多いです。糖尿病を合併している場合、果物は糖分を多く含むため血糖値が上昇しやすい空腹時(間食としての摂取)は控えて、三度の食事の最後に摂ることを勧めています。カリウムは高くても低くても生理的な活動に支障を来します。これから夏野菜が美味しくなる季節、カリウムに余裕がある場合はしっかり旬を楽しみましょう。
GW明けの五月、晩春と初夏の狭間

2. リン:透析前<6.0mg/dlを目標に摂取量の目安750〜1,000mg/day
リンは肉や魚など蛋白質の摂取により消化管から吸収され血液内に入ります。本来骨と血液間のやり取り、腎臓からの余剰分の排泄、それらをコントロールするホルモンのバランスで適正内にコントロールされていますが、腎機能が低下するとそれらが破綻してしまいます。以前は蛋白質制限がリンコントロール主体でしたが蛋白制限を行わずにリンを適正値にコントロールすると蛋白制限をしていた場合より予後が良いことが明らかとなっており、なるべく蛋白質摂取を制限しない方法が求められています。具体的には十分な透析を行うこと、栄養にならない添加物由来の無機リンを避けること、リン吸着剤を規則正しく服用することの3点が大切です。無機リンはほぼ99%近く消化管から吸収されるためわずかでも血中リン濃度を上げてしまいます。加工肉や練り物、乳製品などは添加物由来の無機リンが比較的多く食べ過ぎないことが大切です。また骨ごと食べることが出来る小魚や骨そのもの(鯖缶や鮭缶の中骨)はカルシウムとリンの結晶とも言えるため、回避した方が無難です。一部の清涼飲料水もリン含有量が高い製品があり注意が必要です。栄養にならないリン(無機リン)をできるだけ回避して筋肉や血液の材料として大切な蛋白質を十分に摂ること、また摂取した蛋白質を自分の体に取り込む(同化)には十分なカロリーも必要なため、適切なカロリーを摂取することも併せて考えることが大事です。過剰なリン摂取を控えて蛋白質を十分に摂るには食品中のリン/蛋白比が低い物を摂ると良いでしょう。乳製品はこの比が高いため、リンが高めの方は摂取しない方が良いでしょう。
GW明けの五月、晩春と初夏の狭間

3. ナトリウム(塩分):6g/day未満
体内の水分バランスにおいて塩と水は常にペアで考えます。簡単に言うと体内ではナトリウム濃度を常に一定にしようと様々な調節が行われています。摂取する塩分量が多いと余剰な塩分を薄めるための水を欲します。塩辛い物を食べると喉が渇くのはこのためです。腎臓が正常に機能していれば薄まった塩分と水分は尿として体外に排泄されるためバランスが保たれます。末期腎不全では尿量が減少しナトリウムや水分の排泄量も減るため摂取量も減らさないとバランスが破綻して体水分量過多になります。塩分を取り過ぎると口渇感から水分を欲し何の制限も無く飲水すると体水分量が上限を超えて、高血圧、むくみ、更には心臓への負荷が高まり心不全を誘発することもあります。
GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
口渇感はかなり強い欲求であるため、喉が渇いてから飲水を我慢するのはかなり厳しいことです。故に喉が渇かないように塩分を制限しつつ飲水量を適正化する方が容易とされます。
今回はミネラルの面から透析食の内容と必要性について見てきました。細かな部分は患者さんによって許容範囲が異なるため、採血やレントゲン結果を見ながら個別にお話しするようにしています。



GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
屋内のブーゲンビリア、今年も沢山の花が咲きました。


GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
やや目立たない場所の昇藤(ルピナス)


GW明けの五月、晩春と初夏の狭間
紫陽花の花芽も出てきました。


連休が明けて新年度も本格的に始動しました。朝晩の肌寒い気温に春の名残を感じ、夏日となる日中には初夏の兆しを想います。その前に梅雨を経ねばなりませんが、スコールの如き事醒めな雨にならないようにと希望します。


須坂腎・透析クリニック


同じカテゴリー(ひとりごと)の記事画像
寒暖差と花粉と黄砂
寒波、襲来。
雪のない睦月、令和7年(2025年)
2024年師走
霜月の終わりの紅葉
残暑長引き気付けば晩秋の神無月
同じカテゴリー(ひとりごと)の記事
 寒暖差と花粉と黄砂 (2025-03-25 15:31)
 寒波、襲来。 (2025-02-21 17:03)
 雪のない睦月、令和7年(2025年) (2025-01-23 15:59)
 2024年師走 (2024-12-23 15:48)
 霜月の終わりの紅葉 (2024-11-27 11:18)
 残暑長引き気付けば晩秋の神無月 (2024-10-24 10:42)

Posted by Kidney at 15:28│Comments(0)ひとりごと
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 3人
プロフィール
Kidney