2023年07月30日

猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
毎年葉は立派に萌出するも中々花芽をつけなかったグラジオラスが今季は開花。地上高160cm程の高さになり添え木が必要です。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
盛夏の象徴ノウゼンカズラ。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
紫陽花は盛りを過ぎて名残の花となりました。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
年々色素が薄くなる桔梗、今年はほぼ白色のみの固体が多く咲いています。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
わずかに色を残す固体。



いよいよ梅雨明けとなり暑さも本番です。熱中症による救急搬送事例も毎日のように報道されています。熱中症は高温多湿な環境下で体温が上昇し体温の調節機能がうまく働かなくなることで生じます。発汗と水分補給のバランスが崩れて体内の水分や塩分が不足する「脱水」を伴うことが多いとされますが、猛暑日など過酷な環境下では水分を十分に摂っていても熱中症を発症してしまうことがあります。
猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

一般的にヒトは1日1.5〜2.0Lの尿を排泄するのに対し、透析患者さんでは尿量が減少〜無尿となるため健常者に比べて水分補給の必要性は少ないと言えます。体内の水分量が過不足無く適切な状態としてドライウェイト(DW)が設定されるため、理論的には体重がDWを下回らない限り積極的な水分補給は不要です。透析患者さんが沢山の汗をかいた後で水分補給が必要どうかを判断するには体重測定が大切です。体重がDWよりも多ければ体内の水分は十分に足りており追加の補充は不要です。DWを下回っていればDWまでの差分を参考に飲水をすると良いでしょう。例えばDWが50.0kgのヒトの発汗後の体重が49.5kgならば0.5kg分の水分(比重1として)0.5Lまでは水分補給を追加しても良い事になります。ここで大切なことは先にも触れた通り熱中症は脱水が無くても発症すると言う点です。透析患者さんが高温多湿な環境下で過ごした結果、体調不良を感じた場合(症状は図を参照)
猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

体重がDWを下回っていれば適切な分量の水分を補給しますが飲み過ぎは心臓の負担となるため注意が必要であり、水を沢山飲んでもそれほど体全体は冷却されません。体重がDW以上であれば水分補給の必要性すらありません。その場合は冷房の効いた涼しい屋内で体全体を冷やす、更に扇風機で体表面の熱を飛ばす、首の周りや脇の下、足の付け根に冷却剤を置いて冷やす、可能であれば常温〜ぬるま湯のシャワー浴をする等、体全体を効率よく冷却することが効果的で安全です。

熱中症の予防策として
1. 暑さを避ける
屋外では炎天下の外出・屋外での作業は控える、日傘や帽子、クールタオルを活用
屋内では室温28℃を目安にエアコンを使用、扇風機・カーテンやブラインドを有効に利用
室温の目安は設定温度ではなく実測温度→温湿計を身近な場所に置きましょう

2. 体表面からの熱の放散を十分に
通気性の良い、吸水性・速乾性のある素材の衣服を選択

3. 普段からの体調管理
睡眠、食事を十分に

特に高齢の方は暑さを感じる感覚や口渇感が若い頃と比べて鈍化しており、知らず知らずに熱中症になってしまうケースが多く報告されています。夜間にエアコンを切って就寝し夜半に熱中症を発症するケースも多いとされます。エアコンを嫌う方も散見されますが直接冷風に当たらない、扇風機を併用して室内の空気を循環させるなど対策をして24時間通しで室温管理をすることが安全です。



2023年7月の治療指標の達成度
猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
透析医会の指標は何れも90%を越えました。ビタミンD製剤の出荷調整でPTHのコントロールが一時期乱れましたが、供給の安定化とともに落ち着いて来た感じがします。梅雨が明けて連日猛暑日が続きます。高温多湿の日々が続くと特に高齢者で栄養指標の低下が目立ちます。冷房を嫌う方も多いですが、この外気温では室内での熱中症発症を予防するためにも適切な冷房の使用が望まれます。



5類に移行し数ヶ月が経過した新型コロナウイルス感染症です。毎週水曜日に公表される定点観察の結果も右肩上がりとなり静かな感染拡大を感じます。
猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

透析患者やその家族、スタッフの家族にも感染者が出始めており、隔離透析、出勤停止など感染対策も再稼働しています。新型コロナのパンデミック前はインフルエンザが流行れば手洗い・うがい・人混みでのマスク、定期的な換気など普通に行っていました。現在ではマスクをする・しないの二極論になってしまい、必要な人が必要な時に装着するという当たり前の判断がうまく出来ていない印象です。オミクロン株以降は重症肺炎の発生は希となりましたが、神経系や血管内皮への感染が証明されるなど普通の風邪とは明らかに異なる感染リスクを有していることは明らかで、long COVIDや心血管系の持病悪化など感染したら絶対的に「損する」感染症です。以下は岐阜大学神経内科下畑先生のスライドをお借りしました。
猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり

猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
ワクチンを含む感染対策が有効なことも事実であり冷静に対応することが現時点でも大切であることに変わりはありません。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
ギボウシも開花。


猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
開花の進むグラジオラス。



猛暑襲来、食欲低下は熱中症のはじまり
最後の花影で涼を取る?カマキリの子


皆様が健やかに酷暑を乗り切れますように、暑中お見舞い申し上げます。

須坂 腎・透析クリニック


同じカテゴリー(ひとりごと)の記事画像
春爛漫2024
手強かった弥生の雪、麻疹と紅麹
如月における春の気配
令和6年辰年睦月の冬景色
令和5年師走の下旬〜季節に追いついた外気温
霜月の色
同じカテゴリー(ひとりごと)の記事
 春爛漫2024 (2024-04-25 15:41)
 手強かった弥生の雪、麻疹と紅麹 (2024-03-26 15:48)
 如月における春の気配 (2024-02-23 15:28)
 令和6年辰年睦月の冬景色 (2024-01-25 14:37)
 令和5年師走の下旬〜季節に追いついた外気温 (2023-12-25 10:38)
 霜月の色 (2023-11-23 16:48)

Posted by Kidney at 15:51│Comments(0)ひとりごと
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8

アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 3人
プロフィール
Kidney