2023年10月22日
暑くても寒くても透析間体重は増加する、季節の境目の気温落差
夏の名残にしては気温が高かった2023年の9月。ところが10月に入った途端に朝夕の気温が下がり急に肌寒くなりました。先月のブログでは毎年同じ頃に同じ順番で花芽が形成されるリコリスの開花リズムが変化した事に触れました。
風下に立つと良い香りが流れてくる金木犀、リコリスと同じく今季は金木犀も開花のリズムが変調していました。10月初旬に一部が開花して香りを楽しむ間もなく散ってしまいましたが下旬となり例年並みの開花となりました。今日も良い香りが漂っていました。
この場所のリコリスは例年9月中旬に開花し10月には花茎だけになってしまいますが今年は10月中旬に開花しました。今年は花を見ることが叶わないと半分諦めていたため少し嬉しい気分です。
先月は残暑の影響で涼を求めたり、屋外での作業で必要以上に水分を摂ってしまったりと暑さと水分摂取過多による透析間体重の増加について触れました。10月に入り涼しくなってきたため、体重増加は落ち着くだろうと想像していました。しかし実際はむしろ増加が多くなったケースも散見され原因を考えてみました。
透析間の体重増加が多くなった何名かに食生活で変化が無かったお聞きしたところ・・・
寒くなると食卓に上がる率が多くなる鍋物や汁物、これらの摂取が原因の一つとして考えられました。多くの種類の食材を摂取できて体も温まる、これからの時期には嬉しい料理ですが透析患者さんにとっては2点留意して欲しいポイントがあります。
1. 具を食べて汁は残す
具材のお出汁が出て旨味たっぷりの汁ですが、取り過ぎると水分過多になります。具材にも汁気が入るため余剰な水分を避けつつたっぷり栄養を摂るためには汁はなるべく残しましょう。
2. 練り物・加工食品に注意
ちくわ、かまぼこ、はんぺん等、練り物は製造過程で多くの食品添加物を使用します。その食品添加物には無機リンが含まれており透析患者さんのリン高値の原因になりやすい食材です。練り物や加工肉を避けてタラの切り身、エビ、鶏肉、豚肉など純粋な蛋白源を具材としてみると良いでしょう。
今月の治療指標の達成度です。
秋は本来過ごしやすい時期ですが今年のように寒暖差が大きいとむしろ体調が安定しないと感じる方も多いと思います。治療指標を見る限り栄養状態に大きな変動は見られませんでした。個別のデータでは栄養状態が改善傾向の人、横這いの人、少し悪くなっている人を様々です。検査結果の説明回診では個別に主食(主なカロリー源)、副食(蛋白質)、野菜や果物(カリウム関係)に分けてどの部分が足りていなくて(或いは過剰)、何を食べる(或いは減らすと)とバランスが良くなるかお話ししています。
ヤマモミジの木陰の咲く白いリコリス。
今季、一番最後まで咲いていそうな陽だまりの赤いリコリス。
今年はインフルエンザの流行が早めに始まり、当院でも透析患者さんの予防接種を10月中旬に行いました。新型コロナウイルス感染症はすっかり報道から消えましたが散発は継続しています。インフルエンザウイルスとの違いは次の2点に要約されます。
1. 高い感染性
2. 呼吸器以外の細胞への感染
1. のため流行するとあっと言う間に多くの人が感染し、2.のため呼吸器感染症は軽症で経過してもlong-COVIDと呼ばれる後遺症を抱えてしまうリスクがあります。感染者数が多ければ後遺症が残る人数も増えるため、現時点においても
「かからない」
「うつさない」
「かかっても軽症で済み後遺症をのこさない」
ことが大切です。ワクチン接種が推奨される理由もまさにここにあります。
須坂腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 16:46│Comments(0)
│ひとりごと