2024年12月23日
2024年師走
年末にかけて寒波が断続的に南下する予報、長野県の北過ぎない北の方に位置する当院としては大雪情報に一喜一憂しています。今のところ根雪にはなっていませんが南天の実にも着雪する程の雪が降りました。
少し前までは雪の気配もない小春日和で、このまま年を越すことが出来ればと仄かな期待を抱いていましたが・・・
現実は中々に厳しく剪定が終わりさっぱりとした中庭も季節相応の雪景色です。
今月2日より健康保険証の新規発行が終了しました。従来の保険証は資格喪失しない限り2025年12月1日まで利用可能ですが、翌日以降は利用出来なくなるためいずれかの方法に変更しなくてはなりません。当院でもマイナ保険証に対応済みですが利用者は数えるほどもいません。
医療機関としても現時点では利用するメリットは正直皆無です。今後システムがブラッシュアップされる中で少しずつメリットを享受できるのかなと淡い期待を寄せつつも、読み取り機器のメンテにかかる費用や手間以上のレベルに到達するまでどれほどかかるのか、本当にメリットが得られる様になるのか、疑心暗鬼になってしまいます。はじめから完璧なシステムは求めようもありませんが、本来任意であるはずのマイナンバーカードに生活に密接に関わる極めて公的な健康保険証をかなり強引に紐付けようとしているわけですから、もう少し信頼性のあるレベルに達してからスタートしても良かったのではないかなとも思います。
Dx化といえば学会誌も冊子体の発行を取りやめHP上で閲覧する電子ジャーナルへの移行が進んでいます。私の属する学会では日本腎臓学会が数年前から電子ジャーナル化し、来年1月からは日本透析医学会も冊子体の発行を中止します。電子ジャーナルはHP上にありどの端末からもアクセス可能で、年々増加する冊子体を蔵書するスペースが節約出来るなどメリットがあります。一方で電子書籍に十分慣れていないためか、じっくり読み込む場合は紙媒体の方がしっくりくる事も事実です。PaperもPC上にアーカイブしてペーパーレスで扱うことが多くなりました、いずれは紙媒体からの卒業もやむを得ないのかもしれません。
透析医会の指標では先月低めであった貧血の指標Hbが上昇し通常レベルにもどりました。造血ホルモンの増量 and/or鉄剤の補充で概ね速やかに回復した印象です。消化管出血が除外出来ないケースでは適宜精査を施行中です。また亜鉛製剤内服中の方でここ数ヶ月でHbの低下または使用している造血ホルモンの増量を認めた方に絞り血清銅を調べたところ、およそ半数で血清銅が下限以下未満に低下していました。軽度欠乏では亜鉛製剤の減量、高度欠乏の数例では中止としました。高度欠乏でもHbがほとんど保持されているケースから汎血球減少を来すケースまで臨床像が幅広く、亜鉛製剤の内服が長期になる場合は血清銅のモニターは必須と感じました。栄養指標は残暑の頃と比べて改善傾向にあります。一方で透析的に血清リンの上昇は検出されませんでしたが、個別にみると上昇しているケースが散見され、寒くなると摂取量が増える練り物など添加物由来のリンに注意が必要と思われました。
冬もこれからが本番、季節性インフルエンザの発症数も県内の多くの地点で注意報レベルに到達しています。ここ数年処方薬の出荷調整が相次ぎ、原因は複数存在するにしてもわが国の薬剤供給体制の脆弱さが気になります。今季も呼吸器感染症の流行に伴い咳止めや去痰薬、一部の抗生剤が既に不足気味です。
なるべく罹患しないように基本的な感染対策の徹底が求められます。
今年もあとわずか、元気に年越しを迎えましょう。
須坂腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 15:48│Comments(0)
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