2016年09月28日

季節を告げる花

季節を告げる花

彼岸の頃になると突然ニョキッ!と顔を出すリコリス(彼岸花)。中でも黄色の花弁を持つショウキランは毎年一番に花を咲かせます。




季節を告げる花
その後赤い典型的なリコリスが顔を出し、今年は白の個体もキレイに花を咲かせました。





もう少し季節が下ると
季節を告げる花
金木犀、ある日枝につぼみが現れたと思ったら、みるみる色づいて開花。しかしあっと言う間に消えて無くなります。
秋の入口は春先と同じくらい植物に変化が見られます。



9月の長野県腎協だよりから、
株式会社ペイシェントフッド代表(しんラボ所長←この肩書きの方が有名かもしれません)宿野部武志さんの講演内容が記載されていました。自分らしい透析生活を送るためのポイントとして、

1. からだ
「しっかり透析」と「自己管理」
2. こころ
夢・生きがい・楽しみを見つける
3. 支え・繋がり
仲間を見つける

の三点を挙げています。そして「しっかり透析して、しっかり食べて、適度に運動する」ことが大事なことだと経験から実感していると述べています。これはまさに当クリニックが目指している透析のあり方そのものです。十分な透析をして毒素を抜く、抜いた分だけ食事制限が緩くなる。同時に透析効率を上げると栄養素も抜けるためしっかり食べることが必要。しっかり栄養を摂りながら適度に運動をして貯筋する。今回、透析ベッドの増設で透析のスケジュール組み立ての自由度が高まります。ご希望の方には5時間、6時間の時間延長した透析を受けていただくことも可能となります。透析時間を伸ばすことは拘束時間が長くなりますが、透析量のアップに絶大な効果があり、同じ除水量でも時間を掛けてゆっくり行うことで体に優しい透析となります。






今月、フリーアナウンサーの長谷川何某という人が「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にせよ、云々」と自身の公式ブログに書いて一部の世論を騒がせています。(インターネットの世界ではこのような状態を「炎上」といいます。)論旨は「今の日本の社会保障給付システムはあまりにも狂っている」ことに世間の耳目を集めて問題提起したかったのではないかと推察しますが、ジャーナリストらしからぬ、あまりに稚拙な表現に唖然としてしまいました。確かに年々増加する社会保障費を何とかしなければならないことは事実であり、問題を過度にセンセーショナルに伝えることで一定の注目を浴びることは可能でしょう。一方で過激な言動で世論を煽るやり方は、感情的で危うく、問題点へのフォーカスを緩め歪曲化し、議論をミスリードする危険性を内包します。的確な言葉と論点を持って言語を発信するのがジャーナリストであるならば、背景に的確な取材があったとしても、どれだけ信念を持っていても、「人の心を煽るような」情報発信はその範疇を逸脱していると言わざるを得ません。つまりジャーナリストではなくデマゴーグに過ぎないのです。

さて、件のブログでは日本透析医学会監修の「わが国の慢性透析療法の現状」2014年12月31日現在から「導入患者の主要原疾患の割合推移」を引用しています。2014年に透析導入となった方の43.5%が糖尿病性腎症、14.2%が腎硬化症です。腎硬化症は純粋に高血圧から腎不全を来した場合の病名であり糖尿病と併せて生活習慣病に直接起因する腎不全とされます。長谷川何某のブログでは合計した57.7%つまりおよそ60%の患者さんは、ほとんど間違いなく「自分が悪い」ので透析になった、と取材した医師が述べた事になっています。そして残る40%の患者さんも「努力すれば透析じゃなくなったり、透析になるのが遅くなったりはできます」「慢性糸球体腎炎という病気も、ちゃんと定期的に検査にいって、コントロールができていれば透析導入にならずに済む人も多いです」と医師が述べたそうです。故に「実際に人工透析を受けている患者さんの8~9割が自業自得なんじゃないの?」とブログに書いたそうです。

先ず気になったのは、どのような医師に取材に行かれたのでしょう?。次に考えたのは、都合の良い発言だけを切り貼りしてご自身の意図した結論を誘導したのでは?という疑念です。生活習慣病から透析導入となる全ての方が治療をおろそかにしていたわけではありません。どれだけストイックな生活管理を望んでいても、仕事に忙殺され、家事に勤しみ自分の体を最優先にできなかった人達も大勢います。慢性糸球体腎炎はどんなにコントロールしても透析導入を避けられないケースがあります。治療を尽くしても透析導入を回避出来ないケース(急速進行性糸球体腎炎や多発性のう胞腎)も5%近く存在します。私は20年近く腎臓内科医として現場に立っていますが、長谷川何某の「取材した」医師とは別の考え方です。

さらに長谷川何某は「炎上って素晴らしい」と書いています。敢えて極論を立ち上げて一人でも多くの人に知って欲しい、考えて欲しいと書いています。そこで最初に私が触れた文章に戻ります。つまりジャーナリストは大衆先導者にあらず。増え続け100兆円を超えた社会保障費、40兆円の医療費を放置してはならないのは自明です。透析の医療費は約1.6兆で総額の4%、決して小さくない数字ですが透析医療をやり玉に挙げても残り96%も合わせて解決しなければ有効性は乏しいでしょう。或いはこの方はジャーナリストではなく単なるフリーアナウンサー?何が何でも医療費を抑えたい財務当局が、炎上商法を得意とする人物をけしかけて敢えて世論のミスリードを狙ったアナウンスを仕掛けたのでしょうか?




気を取り直して
季節を告げる花

かれこれ咲き始めて半年近くなるゲンペイボク。赤と白の新たに開花した部分と、鮮やかな紫色に変色した部分のコントラストが良い感じです。




今月の治療指標の達成度。
季節を告げる花


季節を告げる花


治療指標の達成度を9月分に更新しました。朝晩涼しくなり残暑も一段落して栄養指標に若干の回復傾向がみられます。一方で筋肉量の指標は低下しており「夏やせ」を示しています。食欲&運動の秋で回復を目指しましょう。Hb(貧血), P(リン), PTHの達成度はいずれも90%以上でした。β2MGは透析前で22.7mg/Lと全国的に見てもかなり低い値を維持出来ています。冬場に上昇傾向になるため、今シーズンの最低値かもしれません。




季節を告げる花
新しい透析棟も大分出来上がってきました。




季節を告げる花

非常時の発電システムも敷地内に設置されました。軽油満タンで約4時間の連続運転が可能となります。稼働準備が整ってから、近隣のガソリンスタンドと災害時の優先的軽油供給について相談をする予定です。同じく市水道局とも災害時の対応作について今後実務的な打合せを行い、来春を目処に実際に給水車を出動してもらい、予備タンクへの給水をシミュレートする予定です。先月の案件も話し合いを重ねて円満解決です。



季節を告げる花
季節の変わり目は体調不良になりやすい時期。
健康管理に気をつけましょう。



季節を告げる花
維持透析予約の方々、工事は順調に進んでおります。お問い合わせの電話も頂いていますが、もうしばらくお待ち下さい。




須坂 腎・透析クリニック


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Posted by Kidney at 15:13│Comments(0)ひとりごと
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