2022年02月28日
新型コロナワクチン3回目接種による抗体価の上昇
二月も下旬となり例年以上に多い根雪も溶け始め、日当たりの良い一角では蕗の薹が顔を出しました。
スノードロップも開花。花粉症の症状が出始めた方もチラホラ出始め、雪景色の中にも春の訪れを感じます。
水仙もいつの間にか蕾が膨らみつつあります。
新型コロナ感染症の第6波はピークアウトを向かえつつありますが第5波の時と異なり感染者数は高止まりし減少は緩やかなカーブとなっています。重症化しにくいとされるオミクロン株でしたが高齢者やワクチン未接種者の重症化率は高く、感染の主体が高齢者にシフトすると共に重症者数、死亡者数ともに増加傾向にあります。若年で基礎疾患を持たない群と高齢で基礎疾患を持つ群ではこの感染症に罹患した結果が大きく異なります。従って感染を制御するためには重症化しやすい群になるべく早く3回目接種を行う事が大切です。
当院のスタッフを対象に2回目接種から半年経過した時点と、3回目接種をしてから[2週間後の血清中和抗体価を測定しました。
2回目接種から半年後では629±396 U/mlでしたが、
3回目接種後は21633±14770 U/mlと平均45倍の増加が確認出来ました。
重症化のみならず感染予防も期待出来る抗体価です。
個別の上昇傾向をブロットすると
このように増加率には個人差はありますが何れも十分な抗体価に到達しています。
当院スタッフの抗体価を健常者群として、当院で透析を受けている方で3回目接種を受け2週間経過した時点で抗体価の測定を希望された約50名の結果と比較してみました。
維持血液透析を受けている患者でも十分な抗体価の上昇を認め、その数値は健常者群と比較して有意差を認めませんでした。従って透析患者でも3回目接種により感染予防効果を期待出来るレベルの抗体価上昇を獲得出来る事になります。抗体価は年齢が高くなるとやや低下しやすい傾向がありましたが、基礎疾患に糖尿病を持つか否か、性別に関しては有意差を検出しませんでした。血液透析患者は治療の性質上クラスター化のリスクが高く、多くの基礎疾患を有する方が多いことから重症化率、死亡率とも特に高齢者では高めです。また感染者は原則入院が必要であり集団発生した場合は専用病床が容易に枯渇してしまう事態が予想されます。これらを回避するために早めの3回目接種が望まれます。
2022年2月の治療指標の達成度です。
年越しの影響で先月高めに推移した血清Pがベースラインまで低下しました。血清アルブミン、GNRI等は若干上昇しており先月の経口摂取がいつもより多めであった事を示唆します。血清Pを上げずに通年でお正月のような経口摂取を維持することが望ましいのですが、達成するのは中々困難かもしれません。食欲が落ちている方、食料品の買い出しや調理など身辺の生活労作が十分に出来ない方の食事をどうサポートしていくかは大きな課題に思います。そこで何か良い情報は無いかと探していたところこんな本がありました。
「シンプルに」と言う言葉にひかれて購入してみました。何かしらヒントが載っていそうな気配です。
全体でのKt/Vの平均値は2.0を割り込んでいますが達成率は98.0%と高く >1.8も61%と半数以上を占めています。高齢化により食事摂取量の低下した方の透析後低Kを回避するため敢えて透析効率を下げる例が増えている一方で若、くて元気な方は上限まで透析効率を追求する双極化が進んでいます。
雪の中庭とハイビスカス。雪景色を背景に暖房の効く室内では夏の花が咲くアンビバレントな景色です。
ブーゲンビリアも開花し始めました。
ゲンペイボクの開花も例年より早く始まっています。
外はまだ寒く根雪も残りますが日中の気温は上がり始め室内の花木は一つ先の季節に遷移しているかのようです。
出口が見えそうでまだ油断のならない新型コロナ、
欧州での国家主権を蔑ろにした戦争、
真似をしかねない権威主義国家の隣国、
世界経済の停滞による物資不足や電力値上げ、
純粋に春の到来を喜べないほどに、きな臭い情報が溢れますが、
個人で出来る事から焦らず騒がずコツコツと、
進めてゆくことが大事に思います。
須坂 腎・透析クリニック
Posted by Kidney at 18:13│Comments(0)
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