2022年07月30日

熱中症、第7波そして夏本番

熱中症、第7波そして夏本番
空梅雨が空けて急激な気温上昇があり、ひとたび暑さが和らいだと思ったら連日30℃超えの酷暑に戻ってしまいました。来週からは葉月、夏本番と言ったところ、涼しげな画像からスタートします。


熱中症、第7波そして夏本番
やや色褪せてきた紫陽花をバックに咲く桔梗。花が乏しくなるこの季節では百日紅と共に庭に色を添えてくれます。植えた当初は薄青の所謂「桔梗色」でしたが、年々白くなり写真のように絞りの入った個体が増えてきました。



熱中症、第7波そして夏本番
百日紅も開花しました。背景に青空がよく似合う花です。



酷暑により熱中症の発生も確実に増えてきています。総務省消防庁によると、6月27日から7月3日までの1週間で、熱中症で病院に運ばれた人は1万4353人で、前の週から9802人増加し、27人が死亡しました。
熱中症、第7波そして夏本番
(Panasonic HPより)
熱中症の発症は炎天下の屋外で起こる印象がありますが、実は40%は室内で起きています。猛暑日が続くと日中建物の構造体が熱を吸収し、夜間外気温が下がった後も蓄えた熱を放出し中々室温が下がらない現象も関与しているようです。夜間を含めて適切にエアコンを使用し室温が28℃を越えないように調節することが大事とされています。重要なのはエアコンの設定温度を28℃にするのではなく、身近なところに気温計を置きその温度が28℃以下になっていることを確認することです。



熱中症、第7波そして夏本番
(厚労省より)
一般的に熱中症は脱水が引き金になることが多いとされます。しかし尿量が減った透析患者さんでは尿として失われるはずの1〜1.5L/日の水分が体内に残っているため、相当の発汗がない限り脱水になる事はありません。従って透析患者さんはこまめに水分補給をしても熱中症の予防にはならないどころか、むしろ水分過多(溢水)となり体調を崩してしまうリスクがあります。体温コントロールが失調しないように体全体を冷やす=部屋全体を冷やすことが大事です。

ちなみに健康成人においてマスク着用が熱中症の危険因子となる根拠はありません
(新型コロナウイルス感染症流行下における 熱中症対応の手引き(第 2 版) )
https://www.jaam.jp/info/2022/files/20220715.pdf
適切な場面で着用する必要性は何ら減じていないと考えます。ただし万能では内事も事実であり着用する場面としなくても良い環境と、しっかり見極める必要があります。


熱中症、第7波そして夏本番
高齢者では加齢により口渇感が低下しています。喉が渇いていなくても水分補給が望ましい理由がそこにあります。昨今、水分と同時に塩分を補給する必要性が指摘されています。発汗により水分と塩分が失われるため、発汗過多により生じた脱水症に水分のみ補給すると塩分不足(低Na血症)が生じて筋肉の痙攣や時に意識障害を来すことがあるからです。一方で普通に食事が摂れていれば塩分の補充は十分であり水分のみの補充で間に合うことがほとんどです。特に心臓や腎臓に病気を抱える過多では塩分過多が問題となるケースもあり、塩分の補充はあくまでも体重が減少する位の大量発汗があった時のみで良いでしょう。



熱中症、第7波そして夏本番
夏の庭の景色、擬宝珠の花。



熱中症、第7波そして夏本番
ヤマモミジの根元に咲いたホタルブクロ。



熱中症、第7波そして夏本番
(東洋経済オンラインから)
夏本番はまだしも新型コロナウイルス感染症の第7波も本番と言って良いほどに拡大してきました。

1. より感染力の高いオミクロンBA.4, BA.5株への置き換わりが進み、更にBA.2.75への弛緩も懸念されています。
2. 前回ワクチン接種してからの経時的変化による抗体価の減少
3. ブースター接種の接種率が伸び悩んでいること(特に若年者)
4. 行動制限が無いことと感染予防をしなくて良い事を混同している
5. わが国ではこれまで感染者が少ないため他国と比較し集団免疫の形成が弱い
など種々の要因が複合的に作用し感染拡大に結びついたと考えられます。

感染の収束が見えず長期化していることから
「新型コロナはただの風邪」
「マスクは不要」
「行動制限無しにピークアウトしている国もある」
「ワクチンを接種しても罹患するならば打たなくても同じ」
等々厭戦気分に流れる気持ちも分かりますが、

・インフルエンザよりも数倍〜数十倍高い死亡率、軽症例や若年齢でも生ずる後遺症、重症化しないとされていた小児感染例に散発する重症例(小児他系統炎症性症候群)など、ただの風邪どころかインフルエンザよりも死亡率の高い感染症がインフルエンザよりも高い感染性で今だ流行している事実を軽視することは出来ません。
・マスクは万能ではありませんが無力でもありません。ワクチンを適切に接種していれば吸入する感染性飛沫が少ないほど感染予防になり、人混みやリスク保持者がいる環境でのマスク着用は有効です。
・感染者が多数発生した他国と低く抑えてきたわが国の易感染性を同じテーブルで議論することはいささか乱暴です。また感染者が多発した国ではそれだけ多くの死亡者が出たことも忘れてはいけません。
・適切なブースター接種を受けていれば接種後一定期間感染予防効果は上昇します。更に細胞性免疫の賦活化により重症予防効果は長期に維持されます。またウイルス排泄量の低下や後遺症の発生頻度を低下させる報告もあり打てる人は小児も含めて接種することが望ましいと考えます。

感染を制御しながら経済や日常生活を維持するには、個人個人が出来る範囲の感染予防を地道に継続する必要性が問われているものと思います。



今月の治療指標の達成度です。
熱中症、第7波そして夏本番

熱中症、第7波そして夏本番

酷暑が続き食欲低下を訴える患者さんが多くなり栄養指標もわずかながら下降しました。例年では9月頃までこの変化が継続します。恒例の透析患者さんも増えており経口摂取量を劇的に増加することは困難ですが、摂取状況に応じた透析条件の変更と内服薬の調節を密に行い対応したいと考えています。



熱中症、第7波そして夏本番
凌霄花、この時期に開花する貴重な花の一つですがこのタイプの園芸種(マダム・ガレン)は若干暑苦しさも感じます・・・。



熱中症、第7波そして夏本番
屋内ではハイビスカスが絶賛開花中ですが・・・ほぼ通年で咲いており夏らしさは感じません。


暑さにも、感染にも平常心で粛々と対応を続けます。

須坂 腎・透析クリニック


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Posted by Kidney at 16:43│Comments(0)ひとりごと
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